文字サイズ
    読者からお問い合わせの多かった“気になる”話題をご紹介

    「夫婦同姓」規定、最高裁大法廷が「合憲」判決…国民の議論にゆだねる

     夫婦同姓を定める民法の規定が憲法に反するかどうかが争われた訴訟の上告審判決が12月16日、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)であり、「合憲」との判断が示されました。読者センターには、判決について「非常にバランスの取れた判断だ」との声の一方、「時代の流れに逆行し、納得できない」との声など、賛否それぞれの意見が多数寄せられました。

     裁判では、同姓を定めた民法750条について、原告の事実婚の夫婦ら5人が、「平等権などに反する」と主張し、国に慰謝料計600万円を求めていました。判決は「姓の選択は夫婦の協議に委ねられ、形式的には男女の不平等はない」「改姓で喪失感を抱くなどの不利益を女性が受ける場合が多いが、通称使用が広まることで不利益は緩和できる」――などとして、請求を退けました。

     裁判官15人のうち5人は「違憲」とする意見で、3人の女性裁判官は、「96%を超す夫婦が夫の姓を名乗るのは、女性の社会的、経済的な立場や、家庭における立場の弱さなどが原因だ」と指摘。離婚や再婚が増加し、家族形態が多様化しているとして、「現在において、姓が果たす意義や機能をそれほど重視することはできない。通称は便宜的なもの」と述べています。

     寺田長官は補足意見で「制度をどこまで柔軟にするかの判断は司法の限界を超えている」と述べ、国民的な議論を求めています。

     判決後の17、18日に読売新聞社が実施した緊急全国世論調査では、「夫婦別姓」導入については、「反対」が51%で、「賛成」が41%でした。

     法制審議会は1996年に選択的夫婦別姓の導入を答申しました。しかし、自民党内から「家族の一体感が損なわれる」などの異論が相次ぎ、法案は国会提出されませんでした。民主党政権下の2010年にも法改正が検討されましたが、党内外から反対論が出て頓挫。法制化が長期にわたり見送られています。

     判決を機に、家族に関する法制度に関し、議論を深めるべき時にきているようです。

    2015年12月23日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP