■2006/07/03

 新駐禁 大いに申し入れを

 

 道路交通法の一部改正による取り締まりが6月1日に施行されました。監視員による取り締まりによって、市民の暮らしや中小業者の経営・営業に大きな影響が出ています。
 道交法の目的は、「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑をはかる」ことにあります。駐車問題は、駐車場の確保やドライバーのマナー向上なくして解決できません。違反の取り締まりを民間に丸投げすれぱ解決できるというものでもありません。
 諸外国の制度をみると、駐車違反の取り締まりの民間委託を導入しているのはイギリスや韓国など少数で、自治体からの委託という形をとっています。警察からの委託という形になっているのは日本のみです。警察からの委託という形は「監視員のための警察天下り会社ではないか」との批判の声になっています(週刊朝日6月30日号)。同誌によれば、民間委託を受けたのは全国で74法人です。ところが、委託先の選定の公平、公正な選択がなされたのかが疑問です。千葉綜合警備保障など「ALSOK」で知られている、綜合警備保障会社グループの5つの関連会社が受注している会社の前代表(現特別顧問)が、新駐禁制度を強力にすすめた漆間巌警察庁長官の実兄の漆間英治氏です。ここに重大な疑惑を招くのは当然のことです。
 「小さな政府」といいながら、警察官OBを採用、監視員は「みなし公務員」とし、人件費は国民の税金と「反則金」、「放置違反金」で賄う、そしてその利権に群がる警察庁の高官、ここに小泉流「構造改革」の実態があります。
 道路は本来、生活道路、産業道路など多様な役割と機能を持っています。従って、取り締まり自体がそれらの実態を踏まえたものでなくてはなりません。ところが住民から「子どもの託児所の送迎もできない」など、機械的な取り締まりに、怒りの声が上がっています。配達業務などで地域に密着したサービスで営業を守ってきた中小業者からは「これでは安心して配達もできない」、沿道の店からは「売上が激減した」と営業の継続を危ぶむ声も出ています。
 全商連の警察庁への「営業用車両は区別してほしい」との申し入れに対し、「必要に応じて許可証も発行できる」(交通局交通指導課堂前康課長補佐、6月8日)と回答しています。公共性や必要性の高い業務車両には「特別許可証」発行することなど、切実な要望を地元の警察などへ積極的に申し入れしましょう。

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本紙最新調査
住宅リフォーム助成制度実施自治体

19都道府県の72自治体で実施
さらに運動を強め 創設、存続を


 
 

 各地の民主商工会(民商)の働き掛けなどで創設された住宅リフォーム助成制度が会内外の建設業者の仕事起こしにつながり、喜ばれています。現在、実施しているのは19都道府県の72自治体。新潟県が県として制度を創設し、滋賀県長浜市では市町村合併でなくなろうとしていた制度を継続させました。市町村合併を機に廃止したり、財政難などを理由に制度を打ち切り、04年12月時の調査より、15自治体減っていますが、民商・県連では制度の創設・存続を求め、運動を強めています。

新潟県内で越後杉を使って建築する現場、リフォームも対象です

新潟県が実施
木の香るすまいづくり支援事業

 新潟県は一般住宅の建設や購入・リフォームに対する助成制度「木の香るすまいづくり支援事業」を、6月から実施しています。「一定の質が確保された環境にもやさしい住宅の普及促進を図ることを目的」とし、県産材(越後杉)を一定量(新築・購入・増改築の場合は床面積1平方メートル当たり0・07立方メートル以上、改装の場合は床面積1平方メートル当たり0・007立方メートル以上)使用した場合に、新築で25万円、リフォームで15万円の補助が受けられます。
 新潟県商工団体連合会(県連)は、この間、県に対して「住宅リフォーム助成制度」の創設を求めてきました。昨年の交渉では、「市町村の地域経済の振興につながる」との認識を示しながらも「市町村の動向や意向を注視していきたい」との回答にとどまっていました。
 しかし、今年4月、新潟県連も参加する「地域経済の振興と県民のくらし・福祉・教育の充実をめざす新潟県実行委員会」の交渉のなかで「新規の融資制度をつくるのではなく、補助事業として地域経済の振興をはかるため、市町村に先駆けて、県独自の『住宅リフォーム助成制度』の創設を検討している」ことを明らかにしました。
 また、「煩雑な事務手続きにならないよう使いやすいものにと内部で検討しており、5月には実施要綱を作成し、18年度から募集を始めたい」と説明し、今回の創設となりました。
 予算枠、補助金額が低いことや条件面の制約があるなど、不十分な面があるものの、仕事確保や地域経済の振興につながるものです。

滋賀・長浜市で継続
民商、商議所など6団体で請願

 今年2月13日、びわ町、浅井町と合併して誕生した新しい長浜市で、住宅リフォーム助成制度が継続されました。予算は旧長浜市の1・25倍です。
 旧長浜市で実施していた住宅リフォーム助成制度は06年3月に期限が切れることから、新長浜市でも制度の継続を求める声が強まっていました。
 長浜民商では合併に当たってびわ町と浅井町各議会に「住宅リフォーム助成制度の存続を求める」請願を提出し、12月議会で採択され、旧長浜市では民商の呼びかけに賛同した長浜商工会議所や建築組合など6団体の請願を当時の市長に提出しました。
 合併にともなう市長選挙ではそれぞれの候補者に公開質問状を出し、「住宅リフォーム助成制度」の存続について意見を求め、「新長浜市でも制度を継続する」との回答を得ていました。行政のなかでも同制度は地域経済の波及効果が高いことが評価され、議会でも存続を求める意見が出ていました。民商では制度内容を多くの市民に知らせ、積極的に活用されるようにとりくみを強めることにしています。

島根県の地場産業の石州瓦の積極的活用を目的にしています

島根県・大田市も
地元産・石州瓦の利用促進で

 島根県大田市は4月1日から石州瓦の利用を促進させ、地元の建設業と地域を活性化させることを目的に「石州瓦利用促進事業」をスタートさせました。新築、増改築、屋根のふき替えをするときに石州瓦を使用した場合、工事費の一部を助成するというものです。
 助成額は一般の地域では8万〜12万円、「町並み保存地区」などでは12万〜24万円。対象となる工事は屋根面積80平方メートル以上の建築(200平方メートルで最高額)で、大田市内に本店または本拠がある建築業者が施行した工事です。
 出雲民商大田支部は隣接する出雲市が「住宅リフォーム助成制度」を創設していることから大田市でも助成制度の実現をと昨年6月、議会に請願しました。団体署名だけではなく、市内の建築業者70人以上の個人署名も集めましたが、9月議会で否決されました。
 市会議員の大西修さん(53)は「議会は否決したが、市としては地域を活性化させるためになんとかしなければという思いはあったはず。
今回の事業は部分的であるが、民商や業者の要望が実ったもの」と話しています。6月の支部役員会では「業者や市民に広く知らせよう。屋根だけでなく、助成対象を住宅リフォーム全体に広げよう」と話し合いました。
 Aさん(59)=建築設計士=は「不況のせいで仕事が減っている。せっかくできた制度だから多くの人に知らせて積極的に活用するよう呼びかけていきたい」と話していました。

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 大型店出店に意見書
 京都府 イオンに改善求める

 やましろ民商など「考える会」が運動
 住民や商店会も反対

 

 関西文化学術研究都市センター(学研センター)が京都府と奈良市の境に大型スーパー「イオン」を出店しようとしている問題で京都府は5月24日、学研センターに対し、「大規模小売店舗立地法(大店立地法)に基づく届出に対する意見」を通知しました。

騒音や渋滞 光害対策など
 意見書は住宅への騒音、交通渋滞が懸念されるとして、夜間における騒音対策、駐車場待ちの行列を発生させない対策、広告塔照明などの光害対策などの必要性を示しています。その上で、大店立地法第8条第7項により、届出を「変更する」又は「しない」旨を通知するように求めています。
 この計画は敷地面積が4万8000平方メートル、建物の総延べ床面積は12万2000平方メートルで映画館などがある大型商業施設です。地域住民や地元商店会などから反対の声が上がっていました。

学研センター イオンに便宜
 やましろ民主商工会(民商)などが参加する「イオンの出店を考える会」は出店が表明された04年夏以来、住民集会やシンポジウムの開催、関係自治体、自治会などへの働き掛け、住民説明会への参加、数万枚のニュースを発行し、生活環境を壊す大型店の進出や第3セクターの学研センターがイオンに便宜を与えるなどの問題点を指摘してきました。
 京都府はイオン出店に対して住民・PTA・木津町・奈良市から出された意見をもとに大規模小売店舗立地審議会を開催。「住宅が形成されている静寂な地域であるため、周辺住居の生活環境への影響を配慮した対応策が必要」などの意見が多く出され、府が大店立地法に基づいて意見を出したものです。
 府の意見には住民が提出した意見(約90通)や自治会などの意向、さらには自治体からの意見が大きく反映しました。住民・自治体・京都府の3者から意見が出ることは異例のことで、イオンの出店が生活環境を壊す問題があることを示しています。

出店の阻止へいっそう運動
 「考える会」の代表の一人、勝島武司郎さんは「府の意見書は、イオンの計画自体が無理なものであることを裏付ける妥当なもの。しかし、既存のサンタウン商店会との共存には触れず、大店立地法の限界を示している。それを打ち破る今後の大きな住民運動が必要」と語っています。
 学研センターは具体策を示し、建設工事は予定通り進める姿勢を崩しておらず、やましろ民商の河口幹男会長(64)=建設=は「イオンの出店は環境を破壊し既存の商店を排除するもの。なんとしても出店を阻止したい」と話していました。

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 75人が「納税の猶予」申請
 分納や延滞金免除相次ぐ

 神奈川県連「相談してよかった」

 
横須賀税務署に申し入れる横須賀と三浦の両民商の会員ら

 神奈川県商工団体連合会(県連)では、消費税の新規課税に伴う納税に対し、14民主商工会(民商)の会員75人が、納税の猶予を申請し、多くの教訓が寄せられています。
 今回、初めての集団申請ということもあり税務署の対応もばらばらで、「納税の猶予申請書はありません」と回答する税務署があるなど、申請した民商会員もビックリ。
 この間のとりくみで明らかになったことは、「猶予申請を集団でおこなうので、申請書を事前に欲しい」「税務調査ではないのだからスムーズに受理してほしい」など事前に税務署に申し入れをしたところでは、署側も数人の署員を待機させ、審査も比較的短時間でおこなわれたことです。また、学習会や申請書の書き込み会などよく準備して臨んだところでは、会員が納税猶予について、権利としてしっかり主張でき、希望にそった方向での合意を得ることができたことです。
 また、消費税だけでなく税務調査による修正申告の所得税と延滞税の納税猶予を申請した会員、市県民税や固定資産税など地方税の延滞金の免除を申請した会員など、多様な申請になりました。
 この結果、「納税の猶予」(13人)、「換価の猶予」(13人)を含め、すべての会員が分割納付が認められる結果となり、延滞金がゼロになる成果も生まれました。
 申請した多摩麻生民商のBさん(68)=飲食業=は「暮れにかみさんが入院し、多額な医療費がかかって困っていた。民商に相談したら納税の猶予という制度があることを知った。さっそく申請したところ、認められ、消費税の税金が分納になり、延滞金も免除になってほっとしている。相談して本当に良かった。これからは困っている人に自分の経験をどんどん広げていきたい」と感想を述べています。
 高津宮前民商では、会員と民商役員らが一緒になって延滞金がかからないように署員と交渉するなかで、6人中3人が延滞金ゼロになると言う経験も生まれました。
 また、横須賀民商では、税務署からの問い合わせに、会員がその都度集まり対応策を検討するなかで、会員の中に納税者としての権利意識が芽生え、毅然と対応している経験も生まれています。
 各民商は、こうした経験を今後の活動に生かし、さらに普及しようと努力を始めています。

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