洛西ニュータウン再生へ 子育て世代呼び込み人口減歯止め 京都

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京都市が本格再生に乗り出した「洛西ニュータウン」=京都市西京区で(市提供) 拡大
京都市が本格再生に乗り出した「洛西ニュータウン」=京都市西京区で(市提供)

 京都市が「洛西ニュータウン」(西京区)の本格再生に乗り出した。高度成長期に京都初のニュータウンとして誕生したが、半世紀近くが過ぎ、人口減少と高齢化に歯止めがかからない。緑豊かな住環境を売りに子育て世代を呼び込もうと、市は今月、マンション開発を促す都市計画見直しの原案を公表。10月からは市営住宅の空き住戸を改修して所得制限なしで貸し出すなど、多様な施策を組み合わせて活性化を図る。【千葉紀和】

誕生から半世紀

 洛西ニュータウンは西京区の南西部に広がる約2・6平方キロメートル。市が開発して1976年に入居が始まり、住民はピークの90年に3万6000人を超えた。だが、計画された市営地下鉄の延伸が実現せず、交通の便などが課題で次第に住民が減少。2020年の人口はピークの6割となる2万1700人。高齢化率は43%、15歳未満は9%となっている。

 市は06年以降、活性化計画を度々打ち出したが、状況は好転しなかった。一方で市全体の人口減自体が近年顕著化し、外国人を除いた住民の減少数が3年連続で全国最多となるなど、大きな懸案となっている。そこで、洛西地域に若者や子育て世代の定住を促進するため、今年4月に全庁横断のプロジェクト本部を発足させ、対策を検討していた。

入居開始当初の「洛西ニュータウン」=京都市西京区で(市提供) 拡大
入居開始当初の「洛西ニュータウン」=京都市西京区で(市提供)

 都市計画の見直し原案では、中心の「タウンセンター地区」の規制を緩和し、周辺への配慮など一定の条件下で31メートルの高さ制限を超える建築を認め、分譲マンションなどの供給を促す。市営住宅など中高層住宅が建つエリアは、中規模店舗やオフィスの立地を認め、「働く場」の充実も進める。原案は縦覧手続きを経て、今秋の都市計画審議会に諮る。

市営住宅を改修

 また、増えている市営住宅の空き住戸を活用するため、民間事業者に貸し付け、業者がリフォームした上で貸し出す取り組みにも着手。10月から所得制限なしで入居者の募集を始める。ニュータウン内の住宅を市住宅供給公社が買い取り、子育て世代向けに改修した上で販売する試みも今年度中に開始する。

 課題となっている交通の利便性を高めるため、洛西地域を運行する市バスと民間3社で連携し、バス路線の再編を協議する。地域内に多い公園の遊具新調やキッチンカーの出店などで、子育て環境の良さもPRする。国際日本文化研究センターなど近隣にある学術機関との連携も検討し、11月に実行策を発表する方針だ。

 門川大作市長は記者会見で「(洛西ニュータウン周辺に)阪急洛西口駅、JR桂川駅、京都大桂キャンパスなどができたが、40年を超えるまちづくりで連携できていなかった」と、これまでの課題を指摘。「規制緩和で劇的に変わる。働く場の創出、移住・定住の促進へ、地域や事業者と協力して一気呵成(かせい)に実行したい」と意気込みを語った。

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