政府・与党は現在約35%の法人実効税率を2015年度から引き下げる方針を固めた。経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に明記する。麻生太郎副総理・財務相は3日の閣議後の記者会見で「責任ある代替財源が示されるのであればいい」と表明した。自民党も容認する方向で、野田毅税調会長が安倍晋三首相と午後会談した。政府・与党は年末にかけて減税の代替財源を検討する。
財務相はこれまで法人減税に慎重な姿勢を示していた。財務相が来年度からの引き下げを初めて容認したことで、政府内の意見が一致した。財務相は「法人税率を引き下げた分の減収をまかなう恒久的な財源が必要」とも述べた。法人実効税率を1%下げれば、約5000億円の税収が必要だ。
一方、甘利明経済財政・再生相は3日の閣議後の記者会見で、法人減税について「安定的な財源を手当てする哲学は大事だが、成長がさらなる成長を呼ぶという視点があるからこそ減税をすると思う」と述べ、減税に見合った恒久的な財源は必ずしも必要ではないとの考えを示した。
甘利氏は「こっちで減税、こっちで増税となれば投資にとって魅力的といえるのか」と指摘。そのうえで「財源の当てもなくただ減税をするというのは責任ある姿勢とはいえない」とも述べ、「責任ある代替財源」の必要性を主張した財務相への歩み寄りもみせた。
自民党も来年度からの引き下げを容認する。自民党税制調査会は3日午前の正副会長会議で、法人税改革に関する党税調の基本認識をとりまとめた。来年度からの法人実効税率の引き下げを容認しつつ、その前提条件として制度的に担保された恒久財源が必要と訴える内容だ。
法人実効税率下げについて「国・地方を通じ、恒久的な財源を確保し、税収中立の中で実現していく」と明記。課税対象を拡大しつつ、税率を引き下げ、広く課税して税負担の偏りを是正する方向性を示した。景気回復に伴って想定より税収が増える分を当てにした減税は「厳に慎む」と否定した。
減税分を手当てするための候補には、赤字企業でも事業規模などに応じて課税する外形標準課税や一部企業に税優遇を認める租税特別措置(政策減税)の縮小などが挙がる。政策減税は約9千億円あり、縮小を目指すが、対象企業の反発が強い。政府・与党は年末までに具体的な代替財源を検討するが、調整は難航しそうだ。
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