2015年5月18日11時00分
■24日以降、奥津軽いまべつ―新青森まで
北海道新幹線の今年度の走行試験が始まった。昨年度は新函館北斗(北斗市)―奥津軽いまべつ(青森県今別町)=キーワード=間だった走行区間が、24日には奥津軽いまべつ―新青森(青森市)まで広がる。いよいよ新函館北斗―新青森間(約149キロ)の全線を通しで走る試験も行われる。
本州最北端の駅、奥津軽いまべつ駅に4月21日未明、北海道新幹線のH5系車両が静かに滑り込んだ。この日から7月30日までの予定で今年度の走行試験が始まり、H5系車両が初めて奥津軽いまべつ駅以南に足を踏み入れる。
今月24日午前3時41分には新青森駅に初めて入線。2010年12月の東北新幹線開業に続き、「第2の開業」となる地元・青森市の鹿内(しかない)博市長らが、「ようこそ青森へ」と書かれた横断幕を掲げ、出迎える予定だ。新函館北斗―新青森間は約1時間で結ばれる。
走行試験は昨年12月1日、新函館北斗―奥津軽いまべつ間で始まった。トンネルや橋梁などの構造物の点検に加え、速度向上試験を実施。同26日には新函館北斗―木古内間で営業最高速度となる260キロでの走行に成功した。3月にかけて、厳冬期の環境下でも車両や各種設備が設計通り機能するかどうか性能を検証する試験が実施された。
北海道新幹線を建設している独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」によると、24日以降は新函館北斗―新青森間の全線を通して走る。今秋からはいよいよ、JR北海道の運転士による訓練運転が始まる。
■人口3千人のまちに新幹線駅 青森県今別町、課題は集客
奥津軽いまべつ駅のある青森県今別町は、人口約3千人。同様に新幹線駅ができる木古内町の人口約5千人を下回り、新幹線駅がある自治体では最も人口が少ない。観光名所にも恵まれず、集客が大きな課題だ。
駅前の町営無料駐車場(82台)は、隣接する「道の駅いまべつ」の改装に合わせ、先月オープンした。
北海道新幹線が開業すれば、奥津軽いまべつ駅から新青森駅までは約15分。今別町の阿部義治町長は「新青森駅に駐車すると、1泊千円かかる。無料の駐車場があるなら奥津軽いまべつから乗ろう。そんなニーズを掘り起こしたい」と狙いを語る。津軽半島全域のほか、函館方面に向かう青森市民もターゲットだ。
奥津軽いまべつ駅に隣接する在来線の津軽今別駅は1日4本しか列車が止まらず、新幹線開業で廃止される。町は、新幹線で青森や函館方面に通学する子供の定期券代の3分の1を助成することを検討中で、JR北海道に対し、1日10本以上の新幹線停車を求めている。
JR北海道は20人程度の職員を線路などの保守要員に置いているが、島田修社長は「開業までに順次職員を増やし、最終的には40~50人を配置したい」としている。
(日比野容子)
■北海道新幹線の今後の日程
5月24日 北海道新幹線が初めて新青森駅へ
26日 木古内駅の工事終了
6月3日 新函館北斗駅の工事終了
6月末 奥津軽いまべつ駅の工事終了
7月末 走行試験終了、秋から訓練運転
9月ごろ 開業日発表
10月ごろ 運賃発表
12月ごろ ダイヤ発表
来年3月 開業
■人口規模の小さな新幹線駅
(1)奥津軽いまべつ駅(青森県今別町、3217人)
(2)木古内駅(木古内町、5341人)
(3)上越新幹線・越後湯沢駅(新潟県湯沢町、8396人)
(4)東北新幹線・いわて沼宮内駅(岩手県岩手町、1万4984人)
(5)東北新幹線・七戸十和田駅(青森県七戸町、1万6759人)
(※木古内町調べ。人口は2010年国勢調査から)
◆キーワード
<奥津軽いまべつ駅> 北海道新幹線の新函館北斗開業時に新たにできる三つの新駅のうちの一つ。JR北海道が管轄する津軽海峡線・津軽今別駅に隣接してでき、新幹線開業後も同社が運営する。津軽今別駅のホームは8月にも撤去される。青函トンネル入り口から約6キロの地点にあり、避難駅の役割も担う。
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