1999.02.28
国内初の脳死判定

 臓器移植法に基づく初の脳死移植が行われました。

 2月22日に高知赤十字病院(高知市)に搬送され、臓器提供承諾の意思表示カードを持っていた40歳代の患者が、25日に脳死状態と診断されました。同日夜の法的脳死判定作業で、この診断はいったん覆されますが、27日から28日未明にかけての判定作業で、法的に脳死が確定しました。

 これを受け、大阪大病院(大阪府吹田市)で心臓の、信州大病院(長野県松本市)で肝臓の移植手術が行われ、東北大病院(仙台市)と国立長崎中央病院(長崎県大村市)には腎臓が、高知医大(高知県南国市)には角膜が送られました。

 脳死を人の死とするかどうかをめぐっては長い論争があり、1997年6月に成立した臓器移植法も、個人の死生観を尊重して各党が党議拘束をかけず、10月の法施行後も論争は絶えず、1年以上、脳死判定は行われませんでした。それだけに、初の脳死移植にメディアは過熱気味となり、臓器提供者の遺族や病院と衝突するなど、報道のあり方にも課題を残しました。