今日はこれから師匠の三遊亭円楽と
一緒のテレビ収録。
毎回緊張する。
滅多にあることじゃないが。

少し早めに楽屋入りして、
殊勝なところを見せなければ、
と思っていたが、

出しなに
「iPhoneの修理が済みましたんで
   取りに来てください」
との連絡。

かなり時間に余裕を見ていたので
家電量販店の修理受付に
顔を出すと、これが結構な混雑。

で、多少イラつきながら待っていると
隣にいたおじさんが、
「あっ伊集院!」
と声をあげた。

弱ったなァと思っていると
「俺だよ俺!」
とおじさん。

さらに弱りつつ、よく見ると
そのおじさんこそが
35年近く前に
円楽、当時楽太郎の元へ
弟子入りした際の兄弟子の
三遊亭五九楽兄さん!

この人は、正確には
先代の円楽師匠の弟子なんだけど
三遊亭楽太郎門下に弟子が入る前から
楽太郎についていたもんだから
総領弟子みたいもので
のちに入る僕ら門下生の
教育係で怖かったのなんの。
正直苦手だった。

「久しぶりだなあ」
「お互いおじさんになりましたねえ」
「よく出てるなぁ」
「偶然も偶然ですね!」

言葉を交わすのは25年ぶりか。

思えば、あの頃僕が17歳で
五九楽兄さんが23〜4歳。
総領弟子の役目として
カリカリ怒っていたのに対して
僕と兄弟子は口を言い合ってたけど
難しいポジションだったのが
今ではわかる。

「ちょっと前に体壊しちゃってよぉ
   リハビリ中なんだよ
   高座も上がって無ぇんだ
   あと、iPadも壊しちゃってさぁ」

怖かった鬼軍曹の
ちょっと面白い言い回しを
おかしく思いつつ

「兄さんの体の修理済んだら
   どこかで飯でも」
「おう!」

と言って別れた。

さて、この後は、
師匠と一緒。何が起こるやら。