訃報:江戸川乱歩賞の作家、栗本薫さん 56歳

2009年5月27日 11時46分 更新:5月27日 15時5分

栗本薫さん
栗本薫さん

 「ぼくらの時代」「グイン・サーガ」シリーズなどで知られる作家、評論家の栗本薫(くりもと・かおる、本名・今岡純代=いまおか・すみよ)さんが26日、膵臓(すいぞう)がんのため東京都内の病院で死去した。56歳。葬儀は近親者だけで行う。お別れ会を後日開く予定。

 中島梓の筆名で評論などでも活躍した。東京都生まれ。早稲田大卒。76年、栗本名の「都筑道夫の生活と推理」で幻影城新人賞評論部門佳作。77年、中島名の「文学の輪郭」で群像新人賞評論部門を受賞した。

 78年には栗本名の「ぼくらの時代」で江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。テレビ世代の新しい感覚で描いたミステリーが話題になった。SFファンタジー「グイン・サーガ」は126巻(この他に外伝21巻)に及ぶ世界一の長編小説としてファンが多い。81年、「絃の聖域」で吉川英治文学新人賞を受賞した。他に「魔界水滸伝」、伊集院大介シリーズなど。

 音楽・漫画評論、作詞、作曲、ミュージカルの脚本、演出など幅広い分野で活躍。テレビ番組「象印クイズ ヒントでピント」などにも出演してお茶の間にも親しまれ、「才女」と呼ばれた。乳がん体験を記した「アマゾネスのように」がある。07年ごろから膵臓がんを患い、闘病を続けていた。

 ◇「趣味前面」が魅力

 文芸評論家、細谷正充さんの話 物語の構成にもキャラクターづくりにも、とても達者な人で、ツボをはずさない書き手でした。自分の趣味を強く前面に出した作品が多く、それも熱心な読者にはたまらない魅力だったのだと思います。

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