リハビリテーション医学
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蘇生後脳症
機能予後と問題点
岡本 隆嗣橋本 圭司大橋 正洋宮野 佐年
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2004 年 41 巻 12 号 p. 868-874

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抄録

2000年5月から2003年11月までに,当院入院しリハビリテーションを行った蘇生後脳症患者14名(男性13名,女性1名,平均年齢45.3歳)の機能予後および問題点を,当院入院時データより検討した.発症から入院までの期間は264±294日であった.家族の介護負担感の観点から,発症より1.5~6.5年経過した2004年5月現在の監視の程度をSupervision Rating Scale (SRS)により評価し,自立~部分監視(SRS 1~7)であった6名を予後良好群,常時監視(SRS 8~13)が必要であった8名を予後不良群とした.診療録より後方視的に,Japan Coma Scale(以下JCS)3桁持続期間,脳画像所見でのびまん性脳萎縮の有無,神経心理学的検査,Functional Independence Measure (FIM),当院退院時の転帰,現在の社会参加状況,障害者手帳取得状況について検討を行った.2群間の比較で,JCS 3桁持続時間,びまん性脳萎縮の有無,Mini-Mental State Examination(以下MMSE),Wechsler Adult Intelligence Scale-Revised(以下WAIS-R),FIM運動・認知でそれぞれ有意差を認めた.リハ病院入院時における,予後予測因子として,これらは有用であると考えられた.予後良好群では,退院後,社会復帰可能となった例が多く見られた.予後不良群では,入院中,神経心理学的検査を施行できない例がみられ,またFIM認知項目は入院中に有意な改善を認めなかった.また身体・認知の両方とも障害されている例が目立ち,退院時と1.5~6.5年経過時の監視程度はほとんど変わらず,手帳・介護保険でのサービスを多く利用していた.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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