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◆第3回ヴィクトリアマイル・G1(18日、東京競馬場・芝1600メートル、良)上がり馬エイジアンウインズ(藤田)が、中団追走からゴール前で抜け出して優勝。GI初挑戦で、見事に「女王」の座に就いた。管理する藤原英調教師は、開業8年目でうれしいGI初勝利となった。断然の1番人気に支持された武豊のウオッカは、爆発的な末脚が見られず、2着が精いっぱい。3着にはブルーメンブラットが入った。
わずか1頭分だった。ラスト250メートル。エイジアンウインズの前を進むニシノマナムスメとレインダンスの間に、女王への道が開けた。体をぶつけ合いながら、根性で割って入る。そして、突き抜けた瞬間、藤田は勝利を確信した。
内で粘るブルーメンブラットをかわし、栄光のゴールへ。外から猛然と追い込むウオッカの“風”を感じながら、必死に手綱をしごいた。2頭の間隔は、詰まりそうで詰まらない。その差「3/4馬身」。昨年のダービー馬を抑え、見事に頂点に立った。
「正直言って、今日は人気以上に自信があった。持ち味の勝負根性を出してくれたね」と藤田。騎乗するのは初めてだったが、前日から藤原英調教師と入念なミーティングを行い、勝利へのシナリオを作り上げた。同厩舎のドラゴンウェルズで臨んだ17日の京王杯スプリングC。10着に終わったものの、同じ内枠からのレースで、馬場の特性はつかんでいた。
「調教師も、夕方に3、4コーナーを歩いて馬場状態を確認してくれた。馬の上から見る感想と、実際に歩いた感想を合わせて、内だけは絶対に走らないようにしようと決めた」。6番枠からスタートすると、セパレートコースを走っているかのように、内から6頭目あたりをキープ。直線の爆発につなげた。
トレーナーにとっては、1年以上も前から“想定”していた勝利だった。能力は感じていたものの、体質が弱かったため、クラシックを捨てて3歳春を全休した。「その時から、目標はヴィクトリアマイルと決めていた。もっとも、予定通りにはいかないものだけど…。ウオッカが力通りならどうかと思ったが、遠征帰りを突けば、と考えていた」と満面の笑み。関係者から握手攻めにあいながら、初のG1制覇を喜んだ。
今回の勝利により、近年最強と言われる4歳世代の牝馬の中でもトップの地位を確立した。「エリザベス女王杯に(行く)と言いたいけど、距離(2200メートル)のことがあるからね。ただ、牝馬路線を進むことにはなると思う」。狙った獲物は逃さない腕利きトレーナーが次にどの舞台を選ぶのか、興味は尽きない。
◇優勝馬メモ
◆性齢 牝4歳の鹿毛。
◆血統 父フジキセキ、母サクラサク2(父デインヒル)。父の産駒は昨年のコイウタに続き連覇を達成。G1通算5勝目。
◆戦績 11戦6勝。準オープンの心斎橋S、重賞初制覇となった阪神牝馬S・G2に続き、3連勝で頂点へ。
◆総収得賞金 優勝賞金9000万円を加え、2億1355万9000円。
◆初めてづくし G1挑戦、芝マイル戦出走、東京コース、藤田とのコンビ…。すべて初めてだった。
◆藤田伸二騎手(36) JRAのG1で10勝目。重賞通算76勝目。今年の3勝は、すべて芝のマイル戦。
◆藤原英昭調教師(42) G1挑戦32回目で初V。過去2回のこのレースは、デアリングハート&藤田のコンビで挑戦して〈6〉〈3〉着だった。
◆生産者 北海道千歳市の社台ファーム。レース創設から3連覇。今年はG1で4勝目。
◆馬主 太田美実氏。
◆社台Fは3連覇 ○…生産者の社台ファームは、ダンスインザムード、コイウタに続き、このレースを3連覇。昨年のコイウタと同じく、フジキセキの産駒だ。吉田照哉代表は「今年はファイングレイン(高松宮記念)も勝ったし、ドバイでも産駒(サンクラシーク=シーマクラシック)が勝利。本当にすごい種馬になったね。(シャトル種牡馬として)オーストラリアに行ってから良くなったんじゃないの?」と笑いが止まらなかった。
◆太田オーナー15年ぶりG1 ○…オーナーの太田美実氏は、ウイニングチケットで勝った93年ダービー以来、15年ぶりのG1勝利となった。「トレーナーとは、星川先生(元調教師)を通じて知り合いました。若くて、一生懸命やってくれる調教師ですね。ここに来て、順調に使えているのが何より。厩舎のみなさんのおかげです」。ターフの上で藤原英調教師、藤田と3ショットで記念撮影に収まり、大喜びだった。
(2008年5月19日06時01分 スポーツ報知)