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弘前・かだれ横丁に常設寄席 20日オープン

かだれ横丁の入り口で、「弘前かだれ劇場」のチラシを手にPRする水戸さん(左)と白尾さん

 弘前市の弘前芸術鑑賞会(菊池清二代表)は、プロの落語家らの話芸などを楽しめる常設の寄席を兼ねた劇場「弘前かだれ劇場」を20日、同市のかだれ横丁内にオープンする。落語芸術協会(春風亭昇太会長)が芸人の派遣といった面で支援。月2回のペースで東京都から芸人を招くほか、高座や一番太鼓といった本格的な寄席の道具もそろえる。落語家らが定期的に訪れる常設の寄席は北東北では初。市民らによる催し物の発表の場としても利用でき、地域の盛り上げに一役買いそうだ。
 弘前芸術鑑賞会は2017年に設立。昇太会長をはじめとした一流落語家やナイツといった芸人の公演、コンサート、ドラマリーディングライブを開くなど、市民らが文化・芸術に触れる機会を提供している。同会では設立当初から劇場立ち上げを望む声があり、公演やイベントを重ね、独自のネットワークを築き上げたことから、本格的に劇場づくりに動いた。
 同会常務理事の水戸光宣さん(67)は「自前の劇場があれば自分たちの企画ができる上、寄席ならではの落語も堪能できる。何より、にぎわいが少なくなっている中心商店街を、新たな側面から盛り上げたかった」と設置の意図を語る。明治時代の弘前に「蓬萊亭」など三つの寄席があった点も大きく、「過去に弘前に寄席文化があったことが励みにもなった」(水戸さん)と言う。
 劇場は100人規模で寄席の道具のほか、スクリーンや照明、音響も用意。寄席をメインに、eスポーツ大会や名作映画上映会、シニア向けの講習会と多彩なイベントを予定。飲食もでき、かだれ横丁内の飲食店の利用などにも相乗効果を期待する。
 オープン記念イベントとして、同市出身のマルチタレント伊奈かっぺいさんによるライブ(20、21日)とプロの落語家による「わどなんど寄席」(26~28日)をそれぞれ開く。日にちごとに演者が変わる「わどなんど寄席」には昇太会長や桂米助さん、三遊亭遊雀さんらが出演する。
 市民らも利用可能で、弘前大学落語研究会(落研)のメンバーらは「自分たちもこの場所で活動して、劇場を盛り上げたい」と、自主公演費などをクラウドファンディング(CF)で募っている。月1回のペースで劇場を利用する予定で、前部長の白尾大雅さん(弘前大4年)は「プロも使うこの劇場で腕を磨きたいと思いCFを企画した。北東北の大学落研との合同発表会などを通して、劇場をPRできたら」と意気込む。水戸さんは「若い人や市民の皆さんと一緒に劇場を育てていけたら」と話した。
 CFや伊奈かっぺいさんライブ、「わどなんど寄席」の詳細などは弘前芸術鑑賞会のホームページやSNSで確認できる。

2024/4/10 水曜日のニュース一覧