全国交通系ICカードをタッチする乗客=17日午前8時半、金沢駅

 北陸鉄道(金沢市)は17日、金沢駅発着の「城下まち金沢周遊バス」2路線7台で、全国交通系ICカードの利用を開始した。北鉄グループバスでは初めての導入で、観光客らの利便性を高める。「Suica(スイカ)」や「ICOCA(イコカ)」などのカードを機器にかざしてバスに乗り込んだ乗客からは「便利になった」「知っていればカードを持ってきたのに」などの声が聞かれた。

 午前8時半、金沢駅東口に到着した始発のバスでは複数の人がICカードを利用した。機器のトラブル時に対応できるよう、同社の社員や役員が出発を見守り、乗客に「ICカードが利用できます」と声を掛けた。機器に貼り付けられた表示を見て、かばんからカードを取り出す人もいた。

 「全国旅行支援」を活用して東京都目黒区から金沢を訪れた40代女性は「前回乗った時は現金で支払った。スイカが使えて便利になった」と話した。山形県鶴岡市から夫婦で訪れた農業石川茂弘さん(64)は「スイカが使えると分かっていたら持ってきたのに」と苦笑いを浮かべた。

 北陸新幹線開業で観光客が急増した後、観光客からスイカやイコカなどが使えず不便だとの声が寄せられていた。「PASMO(パスモ)」JR北海道の「Kitaca(キタカ)」、JR東海の「TOICA(トイカ)」など10種類のカード利用が可能となる。

 北陸鉄道の独自カード「ICa(アイカ)」の利用はできない。周遊バスはアイカを持っていない県外客の利用が多く、従来も支払いは現金かフリー乗車券のみとしていた。

  ●市民向けも導入検討

 同社には「一般の路線バスにも導入してほしい」との声が住民から寄せられており、同社は市民向けの路線でもシステムの導入を検討するとしている。

 周遊バスは毎日午前8時半から約15分間隔で運行し運賃は一律200円。右回りと左回りがあり、橋場町や兼六園下・金沢城、香林坊などに停車する。

 機器の設置費用は約5千万円で、国がこのうち最大で3分の1を支援し、残りを金沢市が補助する。同社はカード決済の利用手数料を負担する。

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