(CNN) 16日未明、満月が地球の陰に隠れてしまう皆既月食が世界の広い範囲で観測された。
太陽と地球と月が一直線に並ぶことで起きる月食は、半年に1回くらいの頻度で発生する。だが今回の月食はいつもとは違った。テラス科学博物館(ジョージア州)のデービッド・ダンディー天文プログラムディレクターによれば、月が完全に地球の影に隠れる時間が通常より長い1時間40分にも及んだのだ。
「どんな場合も月食は素晴らしいけれど、皆既月食だと月は赤っぽい色に変わる」とダンディー氏は言う。太陽光のうち、波長の長い赤い光だけが地球を回り込んで月に当たるからだ。また、月の縁は少しぼやけて見えるのは地球の大気でゆがむためだという。
今世紀最長とも言われた今回の月食を世界で最も満喫できたのは、オーストラリア西海岸からインド、中東、アフリカの東側3分の2を含む三角形の地帯だ。
日本でも16日の明け方、関東から西の地域で皆既月食が始まった。だが天候不順の地域が多く、実際に観測できたのは梅雨明けした沖縄など一部の地域のみとなった。
ダンディー氏によれば、竜などの怪物が月を食べてしまうせいで月食が起こるという言い伝えは世界各地にある。「対策は大きな音を立てて竜を追い払うこと。毎回効果はてきめんだ。いつだって月は元に戻るから」とダンディー氏は述べた。