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アブラガニ

質 問 アブラガニとは何か / “あぶらタラバ” は何か / アブラガニとタラバガニはどこが違うのか

回 答
アブラガニは、節足動物門 軟甲綱十脚目 タラバガニ科 タラバガニ属の一種。北海道からアラスカに分布する。タラバガニとは甲の棘の数で区別できる。

解 説

本種はタラバガニとは別種なので、「たらばがに」もしくは「あぶらたらば」という名称で販売することは好ましくない。タラバガニとは、甲背面中央の棘の数(アブラガニは4:タラバガニは6)、生鮮時の色(青紫:紫)で区別できる。相対的にアブラガニの方が脚が細長いが、切り離されたものでは区別が困難。

アブラガニ
学名 Paralithodes platypus
地方名 油蟹、あおがに
分類 節足動物門十脚目異尾亜目タラバガニ科タラバガニ属
分布 北海道以北、オホーツク海〜ベーリング海
特徴 本種やタラバガニ、ハナサキガニを含むタラバガニ科は、「カニ」といってもヤドカリの仲間(異尾亜目)なので、脚は8本しかない。脚や甲に短いが太くて鋭い棘がある。脚の先端や鋏(はさみ)には毛が生えている。甲の後方中央にある心域の棘は4本。額から前方に突き出す額角の先端は鈍く、上面に4本の棘がある。背面は青みがかった紫色で、腹面は白。大型で、甲幅18cmを超える。
利用 刺身、塩茹で、素焼き、味噌汁
備考 国内では、北海道近海で稀に漁獲されるのみで、市場に出回るもののほとんどはロシアなどからの輸入品である。北海道では、タラバガニより味が薄いなど、タラバガニと明瞭に区別され、価格も安かった。近年、タラバガニの代用として利用されるようになり、価格もタラバガニとあまり変わらない場合がある。


タラバガニ
学名 Paralithodes camtschaticus
地方名 鱈場蟹
分類 節足動物門十脚目異尾亜目タラバガニ科タラバガニ属
分布 日本海、オホーツク海〜ベーリング海、カナダ北部太平洋岸の水深30〜360m
特徴 脚は8本。脚や甲に短いが太くて鋭い棘がある。脚の先端や鋏(はさみ)には毛が生えている。甲の後方中央にある心域の棘は6本。甲のそれ以外の部分も棘が多く、アブラガニより荒い印象を受ける。額から前方に突き出す額角の先端は鋭く、上面に3本の棘がある。背面は小豆色がかった紫色で、腹面は白。アブラガニより大きくなり、甲幅28cmを超える。
利用 刺身、塩茹で、素焼き、天ぷら、缶詰
備考 国内でまとまった漁獲があるのは北海道だけで、最近の5年間は100トン前後で推移している。2001年の漁獲量は180トンであった。輸入は25796.8トン(2002年)で、ロシア、アメリカ、北朝鮮、中国が主な輸出国である。ただし、この中には相当数のアブラガニが含まれていると思われる。

参考文献
尾本 洋. 1999. 日本海の幸-エビとカニ-. あしがら印刷, 南足柄市.
多紀保彦・武田正倫・近江 卓ほか. 1999. 食材魚貝大百科第1巻 エビ・カニ類+魚類. 平凡社, 東京.
水島敏博・鳥澤 雅(監). 2003. 漁業生物図鑑 新 北のさかなたち. 北海道新聞社, 札幌.

(注・提供資料から一部アレンジ)
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