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【話の肖像画】女流棋士第1号・蛸島彰子(4) 初の女性棋戦でタイトル獲得

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【話の肖像画】
女流棋士第1号・蛸島彰子(4) 初の女性棋戦でタイトル獲得

 〈転機は昭和49年に「女流名人位戦(現女流名人戦)」が創設されたことだった〉

 その頃はアマチュアの女性強豪として関根紀代子さんが知られていました。連戦連勝でしたからね。「奨励会会員だった蛸島と関根のどちらが強いか。一度、対戦させてみたらどうか」と将棋界で盛り上がりました。一方、「まさかプロがアマチュアに負けるはずがない」という声も聞こえてきました。

 当時は将棋連盟の女性教室、アマ女流名人戦など女性の将棋愛好家が増え、「女流プロ制度」を創設したら、という話も出ていました。そんなとき、報知新聞社さんが「女流名人位戦」という女流棋戦をつくってくれました。ちょうどプロ野球が終了し、オフシーズンを迎えていたため、「今、やりましょう」ということになって。うれしかったです。

 〈正式に女流プロの制度が発足した〉

 49年、これまで私だけだった女流プロの世界で、新たに5人が女流棋士として認められました。私には女流三段が与えられました。アマチュア界最強とされた関根紀代子さんと、女流アマ名人戦で何回も優勝した多田佳子さんが女流二段。寺下紀子さん、村山幸子さん、山下カズ子さんの3人が女流初段と認定されたのです。当初は、私はブランクがありましたから少し不安でしたね。「奨励会にいたから勝てるだろう」と言われるのも負担で。負けたくないという気持ちがふつふつと湧いてきました。

 〈待望の女性棋戦の第1期が始まった〉

 新しい5人の女流棋士がトーナメント方式で戦い、勝ち抜いた女性棋士が私に三番勝負で挑戦する形式でした。関根さんとの戦いになると思っていましたが、挑戦者決定戦で負けてしまったんです。

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