麻生太郎首相は9日、ロシア極東のサハリンを18日に訪問し、メドベージェフ大統領と会談を行う意向を固めた。首相がサハリンを訪問するのは戦後初めて。首相は会談で北方領土問題進展の足がかりを得たい考え。外務省は、北方四島へのビザなし交流をめぐる問題の早期決着を目指しているが、めどは立っていない。
河村建夫官房長官は9日、政府・与党連絡会議で首相のサハリン訪問について報告した。18日はサハリンで、日本企業も参加している石油・ガス開発事業「サハリン2」の天然ガス液化施設稼働の記念式典がある。首相は先月24日、メドベージェフ大統領から式典への出席と首脳会談を呼びかけられていた。
ただ、ロシアは先月、北方四島への日本の支援団に、出入国カード提出を要求。日本政府は「四島をロシア領と認めることになる」と拒否した。外務省は92年に始まった北方四島へのビザなし交流が中断しかねないと懸念しており、首脳会談でも議題になる可能性はあるが、即座に問題が解決する見通しは立っていないのが現状だ。
日本は1905年のポーツマス条約でサハリン(旧樺太)の一部について主権を獲得。第二次大戦後の51年、サンフランシスコ平和条約で権利を放棄したが、旧ソ連は同条約に調印していない。【川上克己】
毎日新聞 2009年2月9日 22時15分