「いましかない。 ここしかないという感じで。」

今回、『映画ドラえもん のび太の宝島』の主題歌のオファーを受けたとき『ドラえもん』の大ファンを自認する星野さんとしては、どんな気持ちでしたか。

お話をいただいたのは、1年半ぐらい前でした。大好きな『ドラえもん』の映画の主題歌ですから、すごくうれしかった。でも、その時にすぐ考えちゃうと、映画の公開時には、自分にとって新鮮じゃなくなっちゃう気がしたんですね。一旦、頭のすみにおいておき、ちゃんとスタートしたのは脚本をいただいてからでしたね。

主題歌と挿入歌2曲を書き下ろすことに、プレッシャーではありませんでしたか?

うれしさも、責任感も二倍でした。『映画ドラえもん』の歌では、武田鉄矢さんや西田敏行さんの印象が強くて。子ども心に「なぜこんなにしっとりした歌が『ドラえもん』で流れるんだろう?」と思っていました。挿入歌の『ここにいないあなたへ』は、あの感じを少しだけ意識して作りました。

今回の主題歌と挿入歌は、まったくイメージが違う曲ですよね。

挿入歌は、ストーリーの中で流れるものなので、物語のシーンに寄り添うように作りました。なので逆に主題歌では冒険ができるんじゃないかという思いがあったんですよね。

冒険と言えば、主題歌はタイトルからして大冒険ですよね。

大長編シリーズに共通するものを、歌で表現できたらすごくおもしろいんじゃないかなと考えていて、もしその主題歌のタイトルが『ドラえもん』だったらと、ひらめいたんです。いやぁ、これは、ヤバいアイデアだなあと(笑)。

最初のアイデアは、タイトルだったんですか。

そうなんです。これが実現したら面白いだろうな、と。

それを実現をされたわけですね。

作品のタイトルを曲名にすると、世界観の狭い曲が出来上がってしまう可能性があると思うんですが、『ドラえもん』という言葉は、日本人がほぼ100%知っているでしょう。たとえば『恋』や『愛』というとってもポピュラーな言葉よりも知っている数が多いわけです。

なんかすごい話を聞いている感じがします。

すごく小さな子どもは『恋』って言葉は知らないけれど、『ドラえもん』は知っている。子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで、みんな知っている。どんなにポピュラーなタイトルよりも、『ドラえもん』は日本中のみんなが知っている言葉なんですね。だから、いましかない。ここしかないという感じで。

それが実現するかどうかは、わからないけども、それにふさわしい曲を作らなきゃいけない。ドキドキよりも、どちらかといえばワクワク。これまで思っていたいろんなことができる。そういう気持ちが強かったです。

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