コラム3-'X'シリーズの革新


1983年に登場したDX7。これまでとは全く違う音源方式を搭載し、誰も聴いた事の無いリアルな音色を奏でていました。
金属音を得意とし、アナログ音源では全く及ばなかったブレスノイズ、擦弦ノイズ、打撃ノイズなどもシミュレート出来る画期的なFM音源を搭載しています。
もちろん、ベロシティセンシビティ、ブレスコントローラー、エスクプレッションペダルによる音色変化もアナログ音源のフィルターによる倍音減算では不可能な領域に達していました。
音源システムも素晴らしかったのですが、それだけではありません。当時登場したMIDIにも注目したいとおもいます。
オリジナルDX7ではMIDIにもいち早く対応し、シーケンサーによる自動演奏はもとより、パーソナルコンピューターによる音色エディットや音色データの保存など、CV/GATEでは不可能な事も可能になりました。
この様にMIDIという強力なインターフェイスを得た事により、DX7単体だけではなく周辺機器をMIDIで繋ぐ事で無限の可能性を得る事が出来ました。
音源システムとMIDI、この2つの要素の搭載で、DX7は正にシンセサイザーの革命だったのです。
しかし、革命はDX7だけではなかったのです。
ヤマハではDX7を軸として、リズムマシーン、シーケンサー、パーソナルコンピューター、エフェクター、MTR、外部音源など音楽制作に必要な周辺機器をシステム展開していました。
'X'シリーズと名付けられ、機種名のロゴやボタンの配色など共通したデザインをされていました。
今現在の視点でみても、驚く事にいずれの機種も当時としては高い完成度を誇っていました。
私の所有しているXシリーズを紹介します。十数年ぶりに押し入れから出してみました。埃がかぶっています。
懐かしい人も居るのではないでしょうか。
思い入れが有りますので、捨ててしまうのを躊躇った機種もあります。


デジタルシンセサイザーDX7


もはや説明不要の革新的名機。'X'シリーズはこの機種から始まりました。

背面パネルのロゴがカッコ良かった。プロミュージシャンのステージでも目立っていた。
背面に会社名を描いてるのは今までも有りましたが、機種名のロゴが描かれているのはDX7が最初でしょうか?
プロミュージシャンに使われて、テレビで放映されるのは何よりも宣伝に成ったでしょう。背面のロゴは商業的な意味合いがありますね。


音源モジュールTX802/TX81Z/TX1P




外部音源モジュールのTX802とTX81Zです。
DX7は現在主流のマルチティンバーでは無いので1パートのみの演奏しかできません。外部音源が有れば、シーケンサーなどを使い最大8パートの演奏が出来ます。
TX802は2ポリ×8パートとやや特殊な割り振りをする音源でした。しかし、この音源で作った8パート重ねのリードなどは凄まじく非常に強力なものでした。
TX81ZはV2のラックマウント音源。4オペレーターに8種類のオシレーター波形を搭載してるのですが、やはり6オペレーターには及びません。
分厚い音色や倍音の多く詰まった音色を作成するのには、SYシリーズのAFM音源の様に波形の読み出し角度を決める、位相角が重要なのです。
この大事なパラメーターを搭載していませんでした。
それと、アコースティック楽器の模倣をする場合には、何よりもオペレーターの数と精密な設定(例えば、周波数比なら1.02とかキーボードスケーリングが99段階で設定出来るなど)が必要です。とは言え、4オペレーターなりに良い音がしていました。
TX1Pはクラビノーバと同等のピアノ音源です。初期のAWM音源ですので非常に荒い音色です。


リズムマシーンRX11/RX5



世代が変わっても、ボタンの配色や配置など共通していました。

FM音源では作り出す事が難しかったドラム/パーカッションのリズムマシーンです。
12パラアウトのプロスペックでしたが、ステレオアウトで使用していました。プロと同じ機種を使いたいという見栄だけなんですけどね。
リズムマシーンなので、ドラムシーケンサーが内蔵しています。完成度が高く使いやすかった。
でも廉価版のRX21の方がユーザーインターフェイスで勝っていました。
ヤマハのドラムの音色はダサさが有りました。RX11の時代はともかく、12bitのRX5も音色は良くなかったです。いかにもヤマハ的なドラムなんですよね。このダサさがSY77まで続いていました。SY99では改善されましたが、スネアの音色は良くないですね。
今では、RXシリーズのドラムよりもDX7で作ったFM音源ドラムの方がシャープな音色に聴こえます。FM音源はドラムが苦手でPCM音源で供給していたのに、FM音源でドラムを作るのは本末転倒な感じです。


カセットMTR CMX100/CMX1




今では懐かしいカセットテープ式4トラックレコーダーです。
CMX1も所有していましたが故障で捨てました。多重録音で重宝しましたが、カセットテープ式の為ヒスノイズが多くて音質が悪かったです。
それでも、倍速でdbxノイズリダクションを搭載していたため、ドルビーB搭載の機種よりも高音質な方です。


シーケンサーQX3




プロスペックの16トラックシーケンサーです。
一時期RolandのMC-500も所有していましたが、完成度の高かったのはこちらの方です。
MC-500の起動はシステムディスクの読み込みに数分待たされ、何かエディットするのにもFDDから読み込みをしとにかく待たされました。
αダイヤルもクリックが無く、無闇に大きいダイアルなので廻しにくいし、目的のコマンドを選択するのにも苦労しました。
それに対してQX3では電源投入で直ぐに起動し、大量のデータを処理するのにもそれほど待たされませんでした。
ユーザーインターフェイスも良く出来ていましたね。
ステップ入力やエディットの場合でも、合理的なキー配列のためにやりやすかったです。音長専用キー>音名専用機ー>テンキー>エンターキーの流れに沿った入力で来ます。
ロード、セーブ、MDR、EDIT、EXITなど専用キーで各モードに入りやすいし、ダイヤルも小径で回しやすくクリック感も有りますので的確な入力が出来ました。
今現在の状況は何であるか?を的確に伝え、流れに沿った入力が出来る合理的な設計の手本となるシーケンサーでした。


ミュージックコンピューターCX11



CX11と専用キーボードYK-20

FM音源ユニットには専用キーボード端子とMIDI IN,OUT、ステレオアウト端子の搭載の本格的なものでした。

FM音源ユニットは初期のSFG-01、FDD対応のSFG-05も繋げられました。


CXシリーズはMSXをベースにしたミュージックコンピューター。
これは、低価格なのに本格的なミュージックパソコンで4オペレーター8音ポリフォニックのYM-2151とMIDI IN,OUT、専用キーボード端子が搭載されていました。
とにかく、入門向けの楽しい機種でしたね。QX3を購入しても暫くはCXを使用していました。
不思議なのは、同じヤマハでも楽器店流通のCXシリーズと一般家電流通のYISシリーズが有りました。
ヤマハは、このCXシリーズでコンピューターミュージックの間口を初心者にも広げていましたね。
この当時の他社のパソコンでFM音源を搭載(オプション)していたのは、PC-8801SR、FM-7、X1などだったと思いますが、FM音源の本家ヤマハからはCX5の時から既に搭載されていました。
しかも、PSG3音+FM3音といった廉価版ではなく、DX27やDX100相当のYM-2151の8音です。MIDIも付いています。FSG-01のFM音源ユニットも¥17,000程度の低価格でした。
PC-8801SR、X1、FM-7などはゲームミュージックやBASICのMMLの打ち込みなどが主なFM音源の利用法でしたが、CXシリーズは違いました。
CXシリーズを中心とした、DX、RX、SPX、CMX、TX、QXシリーズをコントロールする総合的なMIDI音楽制作ツールと成りうるシステムでした。
しかもどのソフトウエアもユーザーフレンドリーな操作体系をしていました。ROMカセットを入れて電源を入れるだけで起動しました。
コンピューターミュージックに付きまとう難しい知識は不要でした(音色作りはFM音源なので難しいです)
ヤマハから発売されたROMカートリッジによるソフトウエアの充実も見逃せません。
それぞれのカートリッジを詳しく見てみましょう。


CX11+SFG-01+YK-20


SFG01の画面です。
SFG05の画面です。MIDIを利用し外部FM音源として利用出来る様に改良されています。


専用キーボードのYK-01/20を繋ぎ、電源を入れてBASICのプロンプトが出たときに'CALL MUSIC'と打ち込めば、CXシリーズが瞬時にDX27/DX100相当のシンセサイザーキーボードに変身しました。
音色作りは別売りのSFGエディタが必要で出来ません(音色データの読み込みは出来ました)がパソコンがDX相当品のキーボードに変身するのは当時驚きました。
FM音源による簡易リズムも有りましたし、1キーでコード演奏も出来たり、キーボードスプリットでベース+メロディの演奏も出来ました。
私は所有していませんでしたが、後続FM音源のSFG-05ではMIDIを使い4パートの外部音源として利用出来る機能も有りました。
外部MIDI音源のFB-01に迫る機能ですね。簡易シーケンサーも内蔵していたと思います。
この'CALL MUSIC'の機能だけでも、楽しく、しかも本格的だったのです。


CX11+DX7 DX7 ボイシングプログラム



オリジナルDX7用のエディターです。
電源を入れるとDX7との間で双方向の受信が始まります。DX7側のMIDIの設定などは不要で自動的に開始します。
DX7の小さな液晶画面での作業から解放されます。このソフトには、かなりお世話になりました。
MSXの256×192ドットの解像度ながら、エンベロープやキーボードスケーリングのグラフ表示が出来、判りやすいです。
パラメーターのレイアウトや色使いもなかなか良いですね。
キー操作も簡単でやり易かったです。
この種のエディターでは、音色の配置換えなど操作は複雑な操作が必要でしたが、DX7の32音色以上の48音色のバンクを持っていたため、とても簡単に行なえました。
16音色バンクの余裕が有りますので、音色制作途中バージョンの比較視聴なども簡単に行なえました。
他の8bitパソコンのFM音源エディターは、殺風景な画面に使いづらい操作性の物が多かったのですが、このDX7エディターはMSXという画面解像度の制限のあるパソコンながら、極めて完成度の高いソフトでした。


CX11+YK-20+FMミュージックコンポーザー



譜面入力タイプのシーケンスソフトです。このソフトはコンピューターミュージックの入門向けとしては、完成度が高く本当に素晴らしかった。
同時期にQX7、QX21などのシーケンサーもラインナップされていましたが、初心者にとっては、これらのシーケンサーは取っ付きにくく、難しい。
譜面をそのままを入力出来れば、誰にでも易しくコンピューターミュージックを始める事が出来たのです。初心者にも間口を広げたという意味でもこのソフトの功績は大きいと思います。
カートリッジスロットが2つ以上搭載しているMSXで有れば、別売りのアダプターを介しヤマハ以外のMSXで利用出来たのは素晴らしいですね。

FMミュージックコンポーザーの主な特徴。

1・多彩な入力方法。
2・MIDI対応(MIDI SYNCも含む)
3・FM音源8音を自由に割り振り利用可能。
4・MTRへのシンク信号入出力。
5・FM Voicing Programで作成した音色データを利用可能。

・多彩な入力方法。

FMミュージックコンポーザーの入力法は、ユーザーの好みに応じて多彩な入力方法を用意していました。
カーソルキーで移動し、音長キーと音程キーで選び、リターンキーで確定します。
音長キーと音程キーは同社のQX1ライクな配列です。音程キーの代わりにカーソルキーの上下で音程を変える事も出来ました。
YAHAMA QX1のキーボードです。FMミュージックコンポーザーのキー配列はこれに近い配列です。
カーソルキーの代わりにMSXマウスも利用出来ました。卓上であれば、マウスの方が素早く入力出来たでしょうね。
専用キーボードのYK-01、YK-10、YK-20による鍵盤で音程を入力も可能でした。シーケンサーのステップ入力に近い感覚です。
記憶が定かでは有りませんが、次の様なペンタブレットを使って入力も可能だったと思います。

この様に複数の入力方法から選ぶ事が出来ました。操作性に関してもユーザーフレンドリーです。

・MIDI対応。

このFMミュージックポンポーザーの凄い所は、MIDIにも対応している事です。
内蔵のFM音源のみ成らず、MIDI対応シンセサイザーにより、本格的なサウンドも得る事が出来ました。
当時はDXシリーズ以外にもRolandのJunoシリーズやCasioのCZシリーズなどを繋いでゴージャスな音色を楽しんでいました。
MIDIシンクにも対応して、リズムマシーンのRXシリーズやシーケンサーのQXなどと同期も出来ました。
ドラムはリズムマシーンに任せる事が可能でしたので、FM8音の少ないポリフォニック数でも十分でした。
任意のトラックにMIDIを指定可能だったり、SM=??(SMはセンドMIDIの意味)命令を使って全てのコントロールチェンジやエクスクルーシブメッセージも送信可能だったり本格的なMIDI機能も搭載していました。

・FM音源8音を自由に割り振り利用可能。

このFMミュージックコンポーザーが他の8Bitパソコンの譜面入力ソフトと決定的に違う点は、1つのトラックに自由にポリフォニック数を指定し、和音を入力出来る事です。
BasicのMML(ミュージックマクロランゲージの意味)にしても、市販の譜面ソフトにしても、1トラック-1音モノフォニックの概念で和音を指定する事が出来なかったのです。
FMミュージックコンポーザーでは、和音数以上のポリフォニック数を任意に指定出来、擬似的なリバーブも可能でした。
この機能はピアノ系の音色やディケイ系の音色には圧倒的に有用でした。
サスティーンコマンドも単純なON、OFFでは無く15段階の余韻を調整出来、きめの細かいFM音源の制御も可能でした。
ヤマハらしく音量制御だけではなく、ベロシティの制御も出来ました。他の8Bitパソコンでは何故かベロシティの概念が無いんですよね。

更に素晴らしい事に、任意のトラックの任意の小節で、専用キーボードによる手弾き演奏も出来ました。
打ち込みによるバッキングの自動演奏との手弾きの競演も可能でした。

・MTRへのシンク信号入出力。

FMミュージックコンポーザーの最大同時発音数は8音でした。かなり厳しい制約ですが、CMXシリーズなどのMTRを所有していれば、データレコーダー端子を使い、同期信号を録音する事も出来ました。
MTRによる本格的な多重録音で同時発音数の少なさもカバ−出来ました。オーケストラも可能になるかもしれませんね。

・FM Voicing Programで作成した音色データを利用可能。

FM Voicing Programで作成した音色データの読み込みにも対応して、音色のバリエーションを増やす事が出来ました。
自作の音色でも良いし、音色ライブラリーとして96音色が入った市販データも利用出来ます。ミュージックコンポーザー用の曲データのカセットテープにも音色データが添付していました。
音色ライブラリーも豊富に揃っていました。


CX11+YK-20+FMボイシングプログラム



SFG-01、SFG-05用の内蔵FM音源エディターです。専用キーボードのYK-20を繋いで音作りをします。
これだけでもDX27、DX100相当のシンセサイザーキーボードとして機能して、演奏する事も出来ます。
DX7エディタの様にグラフ表示は出来なかったと思いますが、全パラメーターを1画面上に表示されるので使い勝手は良かったです。
画面レイアウトも奇麗にまとまっていて見やすいですね。
このソフトで面白いのは、ベロシティにも対応して音色作りが可能な事です。どうもパソコン系の4オペレータFM音源はベロシティを疎かにしていて無視されていますが、これはしっかり対応しています。画面上部の"●---+---○---+---+"がベロシティ値のグラフです。
専用キーボードではベロシティに対応していませんが、上のグラフの●印を左右に動かす事によってベロシティを変更します。
FM音源の魅力は、ベロシティによる音量変化と音色変化だと思うのですが・・
他の8Bitパソコンでは何故か、FM音源の長所を無視しているんですよね。


CX11+MIDIシンセ+MIDIレコーダー



4トラックのMIDIレコーディングシーケンサーソフトです。
MIDI専用なので内蔵FM音源は利用出来ません。
このソフトには期待して購入したのですが、編集機能がお粗末で殆ど使用しませんでした。
編集もバーグラフでタイミングを移動する程度の事しか出来ません。
リスト表示とかピアノロール表示とかも有りませんでした。
せめてリスト表示は搭載してほしかったです。MSXの小さな解像度の画面でもパソコンで有る以上、十分な情報量を表示する事が出来ると思います。
MSXマウスにも対応して操作性はなかなか良かったと思いますが、QX21などと比べて機能不足ではパソコンを使うメリットはないと思いした。


CX11+FMミュージックマクロ



MSX-BASICの音楽機能を拡張するソフトです。MMLを記述する事でFM音源を成らす事が出来ました。
ヤマハらしく1パートで和音も記述出来ました。
ゲームなどのBGMとして使用出来るのですが、極めて処理が重くアクション系のゲームを作るのは難しいでしょう。
このソフトの最大の特徴は、FM音源のCSM機能による音声合成が出来ました。
YM-2151の特殊モードによる音声合成は、ロボット的な声ですが、音程を変える事が出来ますので、歌わせる事が出来ました。
PC-6001mk2の音声合成に近いですね。
ヤマハは既にこの頃から、音声合成を研究していたのですね。その研究の成果が今現在の初音ミクやFS-1Rのフォルマント合成に生かされているのでしょう。
プログラムを組んでみましたので、FM音源による音声合成を聴いてみてください。

FM音源のCSM機能による音声合成。
FM音源のCSM機能による音声合成2。エラーメッセージ。


その他のソフトウエア。

私の所有していたソフト以外には以下の様な物も有りました。
・RXエディタ
・FB-01ボイシングプログラム
・DX21ボイシングプログラム
・DX7Ⅱボイシングプログラム
・DX9ボイシングプログラム
・FMオートアレンジジャー
・FMオートアレンジャーユーティリティ
・MIDIマクロ
・ギターコードマスター
・キーボードコードマスター
シンセサイザーの音色作成支援から、作曲、アレンジ支援、MIDI制御、ギター、キーボードのコード理論に至までそろえていましたね。
これ以外にもグラフィック関連やワープロソフトなど、ヤマハ1社提供のソフトウエアとしては、極めて充溢したサポートをしていました。


デジタルマルチエフェクターSPX-90


SPXはどこへ行ったのでしょう。代わりのFX900です。
デジタルマルチエフェクターのSPX90です。
当時の技術では複数のエフェクトを同時使用は出来ませんでしたが、ナチュラルな音質と9万円を切る価格で大ヒットしました。
今でもPA用として活躍しているのではないでしょうか?
ヤマハのリバーブは派手さは無かったものの自然な残響でお気に入りでした。
ディレイ系のエフェクトもなかなかクオリティが高かったと思います。
MIDIのプログラムチェンジにより、エフェクトの切り替えなども可能でした。当時は、MIDI端子搭載のエフェクターなど珍しかったのです。
フルデジタルエフェクターそのものも珍しかったと思います。内部のDSPのプログラムを変更する事で、あらゆるエフェクターに変身するのは革命的な事でした。
このエフェクターの登場以前は、プロフェッショナルユースではデジタルエフェクターが普及していました。しかし、200万円~30万円近い高価な値段だったと思います。
アマチュアユースでは、スプリングリバーブやBBD素子の電子エコー/リバーブが普及していました。それを思えば、絶世の感がありますね。


これまで紹介してきた'X'シリーズはMIDIと言う強力なインターフェイスを得た事により、プライベートユースからプロフェッショナルのスタジオユースに至まで、無限の可能性を提示してきました。
単順にDX7だけが革新的だったという事では有りません。
DX7の発売開始から、矢継ぎ早にこれだけの'X'シリーズが提供されていたのです。
'X'シリーズはプロの音楽制作から、趣味のコンピュターミュージックの楽しみ方まで総合的に変えてしまったのです。
今にして思うと、もの凄い事だったかもしれませんね。



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