打席にはいる前、バットをじっと見つめる松井

　眠れるゴジラがスタメン落ちの危機だ！ヤンキース・松井秀喜外野手（29）は24日、当地のヤンキースタジアムで行われたオリオールズ戦で３打数ノーヒット。ここ５試合で19打数２安打と絶不調の松井に対し、ジョー・トーリ監督（63）は26日にもスタメン落ちを示唆。試合はヤンキースが７―０で完勝して連敗を止めたが、松井は正念場を迎えた。

　地区優勝へのマジックが消滅したことで、指揮官の我慢も限界に来ていた。試合後、３打数無安打に終わった松井の処遇について言及。トーリ監督は苦々しい表情で切り出した。

　「ちょっと疲れているようだな。あしたの試合の結果を見て、あさって（26日）どうするか決めたい。ただ、試合に全く出さないことはしない。連続試合出場記録を途切らせて悪者にはなりたくないからな」

　確かに松井の惨状は目を覆うばかりだ。この日もかつて地元メディアに“ゴロ王”と揶揄（やゆ）されたシーズン序盤をほうふつさせるかのように、内野ゴロでの凡退を繰り返した。「何だろうね。まあ（連戦の）疲れがあるのも確か。相手投手にうまく攻められているし、長いシーズンこういう時期もあるよ」。これで最近５試合は19打数２安打。本塁打に至っては12試合、55打席も出ていない。

　松井といえば巨人時代から“夏男”が代名詞。特に８月は群を抜いた相性の良さを見せてきたが、メジャー１年目の８月はここまで80打数19安打で打率.２３８。開幕以降で月間の最低打率となっている。これではトーリ監督の“断”もやむを得ない。代打およびゲーム終盤の守備固めの出場は確約されるが、松井がスタメン落ちとなれば４月20日のツインズ戦以来、今季２度目のこととなる。

　「まだ（８月は）残り１週間あるし、これから飛躍的に打つかもしれないじゃん」。強気のコメントを残した松井だが、表情はどこかさえない。それでも、前日には父・昌雄さん（61）と一緒に、巨人時代は開幕戦前に“出陣メニュー”を食していた東京・神楽坂の割烹（ぽう）料理店「もー吉」の店主・安倍俊彦さんもニューヨーク入り。夏バテ防止の“必殺料理人”も駆けつけた。援軍もそろい、松井は最後に言った。「もう終わったことは仕方がない。あしたから頑張るだけ」

　メジャーで初めて迎えた不振によるスタメン落ちのピンチ。今は松井のこの言葉を信じるしかない。