2
 
<サウンド制作は先輩と2人で>
 
 

こみお 阿部さんは、ストII制作当時は新人だったんですか?

阿部 そうですね、入った年の6月か7月頃からだったと思いますけど。

こみお どの曲を制作されたんですか?

阿部 「サガットのステージ」と「途中参加」と。ええーっと…あれ、それだけかな。

高野 いえいえ、「VS画面」も。

阿部 ああそうか。

こみお 当時制作に関わってたサウンドの人はいらっしゃいますか?

阿部 いない…いないから、今ここに呼び出されてるんじゃないかな(笑)。 作った人は俺が2年目のときにすべていなくなってしまいました。

こみお そうなんですか!

阿部 でも、サウンド担当者って言ってもあと一人だけで、下村さんっていう先輩がいたんですけどね。 当時は曲もSEも一人、っていうか同じ担当者が作ってましたから。下村さんがメインで俺がサブでついて、って感じだったかな。

こみお 阿部さんは曲だけ制作したんですか?

阿部 このときは曲だけですね。

こみお へぇー、二人だけ作ってたんですか!

阿部 うん、二人だけ。で、実際使ったのはこれだけだったけど、作った曲はいっぱいあるんですよ。

こみお 聞いてみたいなぁ。

高野 おやじさん一年目のグッドジョブ聞きたいですね。

 
阿部 例えば、バイソンの所とか。後半に作ったやつは割と俺が作ってたんですけどね。

高野 ああ、バルログだったり、ベガだったりですか。

こみお …すみません、ぜんぜんわからないです。あっ、でもバルログならなんとなく…。

高野 ボスキャラの名前ね。バルログは「ひょー」って言う人。

阿部 難しいなぁ。なんか、誰でも知ってるものだと思ってますからね。

高野 (笑)

阿部 じゃぁ、ベガとバイソンが海外じゃ名前が逆とか知ってますか? いろいろあるんですよ、コネタは。

こみお はぁ、ピンと来てないんですけど…。

阿・(笑)

高野 つまり、「バイソン」が「タイソン」をモチーフにしたキャラだったんで、名前を「バイソン」にしてしまうと肖像権の侵害になるということで、 名前がバルログっていう名前に変わって、「バルログ」を「ベガ」にしたんですよ。 で、ベガって言うのは…こと座でしたっけ?だから、日本人の感覚では最後のボスで「ベガ」って名前はかっこいいかなって思うかもしれないけど、 海外のマーケティングの人から見ると「なよなよしている」と。

こみお ほぉ…

高野 だから、中性的なバルログをベガって言う 名前にしたんですよね。それで、サガットはストリートファイター1のときからサガットの名前なんで変えられないんで、ラスボスの方をバイソン将軍としたってわけですよ。

こみお ややこしいですねぇ。

高野 (苦笑)

阿部 だから、映画の方はバイソン将軍なんですよ。

高野 ところで自分達のゲームがハリウッドで映画化ってことで、当時会社の中での盛り上がり具合はどうだったんですか??

阿部 うーん、特に盛り上がりは…。 もうその頃国内では、ストリートファイターIIは人気が割りと落ち着いてたじゃないですか。 社内では「またそんなことやってる」みたいな雰囲気の方が強かったかも(笑)。

高野 そうなんですか。

こみお でも、海外のテレビとか映画とか見てたら、ストリートファイターらしきものが出てるの多くなかったですか?

阿部 当時?

こみお そう、当時。某香港映画とか。主人公が春麗になってでてきたし。 他の映画でよく覚えてないですけど、子供がゲームやってるシーンで、お母さんに怒られた時のゲームがストリートファイターだったんですよ。

高野 ああ、そうなんですか。

阿部 そう言えば、ドラマで誰か覚えてないけど、春麗の格好してるのとかありましたね。

高野 ええ、マジですか!

阿部 うん、なんかコスプレのなんかで…。

高野 それサクラじゃないですか?スポーツ新聞にでかでかと載ってましたね。 「女子高生コスプレ」っていう風に誰でもわかる見出しが書かれてるんですけど、鉢巻まいてテコしてるんで、あきらかにサクラだったんですよ(笑)。

こみお そうなんですか!そんな事もあったんですねえ。

座談会:後半へ続く…

1・2・3 45