表題の作品-群の初出<連載>稿に認められる、作品外の作家イメージを積極的に取り込み、それを確定的ならざる=増殖的な作家像として読み手に送り返そうとする作品機構の生成を明らかにするとともに、そのような機構が、一人称語りの採用と相まった"語りつつある時間"の顕在化に由来する、真摯な<告白>及び全てが完了した時点から語られる唯一にして事実確認的な<過去>の表象に対して批評性をもって論じた。そのような本論の検討は、初期宇野浩二の文学的読みと、<連載>という近代的な文学形式との相互作用による(一種の)テキスト生成過程の解明とも換言できる。
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