2016 年 122 巻 8 号 p. 413-432
伊豆半島南部に分布する新第三系の白浜層群中には伊豆-小笠原弧背弧域の浅海火山活動と,それに密接に関係した堆積・造構作用を示す露頭が海岸部に好露出している.ここで見られる現象は,未固結堆積物に貫入する様々な形態の岩脈,ドーム,火山岩頚,ラコリスなど,および貫入岩体周縁部での水冷破砕とぺぺライト形成,母岩の熱水変質作用,枕状溶岩,自破砕溶岩を含む水中火山岩の噴出・堆積過程,火山活動に起因する堆積物重力流の発生・再堆積,地質図規模の緩やかなドーム・べースン構造,貫入岩体周辺での急傾斜部,堆積同時性断層の形成などである.本巡検では,半島南東部の下田地域,南伊豆地域,西伊豆地域の海蝕崖,海食台でこれらの現象を観察する.これらは,火山性島弧の背弧やリフト帯の浅海域での海底火山活動の実態を理解するための好例である.