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外来種は本当に悪者か?: 新しい野生 THE NEW WILD 単行本 – 2016/7/14
生態系を破壊すると言われる外来種だが、実際には、環境になじめず
死滅するケースが多い。定着したものも、むしろ、受粉や種子の伝播を手助けしたり、
イタドリやホテイアオイなど、人間が破壊した生態系を再生した例もある。
著者は、孤軍奮闘する外来種の“活躍" 例を、世界中から集めた。
「手つかずの自然」が失われている昨今、自然の摂理のもとで外来種が
果たす役割を「新しい野生(ニュー・ワイルド)」としてあえて評価する。
外来種のイメージを根底から覆す、著名科学ジャーナリストによる
知的興奮にみちたサイエンス・ノンフィクション。
R・ドーキンス『利己的な遺伝子』共訳者で進化生態学者の岸由二氏による解説付き。
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社草思社
- 発売日2016/7/14
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104794222122
- ISBN-13978-4794222121
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商品の説明
著者について
ジャーナリスト。環境問題や科学、開発をテーマにと 20年以上、85カ国を取材。1992年から『ニュー・サイエンティスト』誌の環境・開発コンサルタントを務めるほか、『ガーディアン』誌などで執筆、テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍する。2011年には長年の貢献に対しAssociation of British Science Writers から表彰を受けた。著書に『水の未来』(日経BP)『地球最後の世代』(NHK 出版)『地球は復讐する』『緑の戦士たち』(いずれも草思社)ほか多数。『地球は復讐する』は23カ国語に翻訳され世界中に大きな影響を与えた。
藤井留美(ふじい・るみ)上智大学外国語学部卒。訳書に『ビジュアル版 人類の歴史大年表』(柊風舎)『<わたし>はどこにあるのか』(紀伊國屋書店)『ビジュアルダ・ヴィンチ全記録』(日経ナショナル ジオグラフィック社)など。
登録情報
- 出版社 : 草思社 (2016/7/14)
- 発売日 : 2016/7/14
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 336ページ
- ISBN-10 : 4794222122
- ISBN-13 : 978-4794222121
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 247,700位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 168位自然観察
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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外来種=悪とレッテルを張り、たとえば、
池の水を抜いて生き物を殺すのを見て、それをほめはやす人々見るにつけ、
果たしてそれは本当に善なのか?
人類が進むべき方向なのか?
そんな疑問が、ふっと軽くなる内容でした。
洋書を読みなれていない人には少々見づらいところはあるかも。
もう30年も前に、日本の水産学者の大御所の方が書かれていた、
「人間の都合によって、アレはよい、これはだめ」などというレッテル張りは
生物界ではあまり意味を持たない、特に魚類は環境に合わせて移動を繰り返してきた生き物…。
そんな言葉を思い出しました。
この本がほかの国々でもベストセラーになることを考えると、
世界的に見てもその流れが主流であるのかもしれません。
論理がまちっがているとか、言葉の使い方が間違っている
という指摘もあるようですが、ちょっと恣意的な意図を感じてしまいます。
外来魚=悪でないといけない人がいるんでしょうね…
三面護岸され、川というより水路のような存在だったその川に
メダカが生き長らえていた。
しかも、メダカは繁殖していた。
流域住民たちは喜び、メダカを保護しようと役所に働きかけた。
しかし、外来種排斥原理主義者がそのメダカのDNAを調べたところ
それは西日本のメダカの遺伝子を受け継いでいたらしく
保護から一点、駆除されることになった。
果たして、これは本当に正しいことなのか?
DNAまで調べなくては、私たち人類は他の生物がそこに住む権利を認めることはできないのだろうか?
私は三児の父であり、子供たちには「無益な殺生はしてはいけない」という教育をしている。
自然の中で遊ぶことが好きだった私自身、両親や祖父母からそのような教育を受けてきた。
しかし今、子供たちは外来種であれば罪もない生物を殺してもいいという教育を受けている。
そのような疑念を長い間抱いていたが
本書を読んでスッキリした。
結局、外来種の駆除というのはカネのためかイデオロギーによるものであって
科学的にはまったくといっていいほど意味がない。
そもそも、生態系には均衡やバランスなどというものはなく
常に進化し続けている。
それが本来の自然の姿なのだ。
生態系云々、外来種云々の話をする前に
まずは三面護岸された川を元の姿に戻すべきではないのか。
そうすれば、外来種排斥原理主義者たちが望むような在来種が戻り、
今どうにか生き長らえている外来種は自然に淘汰されていくのではあるまいか。
ひとつひとつの事実にとらわれてしまって文庫本で400ページ近い本は読みきるのがたいへんだった。
ただ、在来種・外来種の区別などは大きな自然の中では意味をなさないこと、単に他者への差別意識から外来種の排除が行われていること、いずれにせよ人間の営為などは自然にとって大した意味をなさないこと、などがよくわかって目から鱗で面白い。
外来種についての新しい見識を広げることができます。
外来種に興味のある方はぜひ。
これでもかというほどの事例を紹介してくれます.著者の博識,行動の広さに敬服します.引用文献,出典根拠の多さは,イギリスの著書らしさを感じます.
途中で,在来種保護のために外来種駆除をすることを子供に教えるのに,人間のハーフが悪者になってしまうので難しいとこぼしていた,熱心な自然保護活動家を思い出しました.また,生態系サービスという言葉に嫌悪を感じ,生物多様性保全は持続可能な人類のためだという主張にも嫌悪感を感じてしまう,純粋な心を持つ自然環境保全活動家も思い出します.
しかし,彼らにはこの本を読んで生態学にパラダイムの転換の日が来たのだ,と理解してほしいのです.
私も古い生態学になじんでいました.遷移とか極相とかを知って受けいれていました.しかし,新しい生態学の主張するところの「偶然が支配する自然」という理解のほうがしっくりきます.最初からあるべき理想的な自然なんぞはないし,いつまでも同じ自然が続くわけでもない.常に変化し続けるのが自然であるのは,過去をみれば明らかです.
人為的に目指すべき,目標とすべき自然をどのように設定すべきかとしばし悩んだことはやはり無意味だったと知り,ほっとました.
今西錦司のすみわけ論に通じるという慶應義塾大学名誉教授,岸由二さんの解説にもはっとさせられたました.社会人になったころに,京大学派の本を勧められた時に読んだので,もう一度読んでみようかと思ったしだいです.
自然保護活動に熱心に取り組んでいる方にこそ読んでほしい一冊です.