皇室と蚕の伝統継ぐ 皇后雅子さま、初の御養蚕始の儀

杉浦達朗 長谷文

 皇后雅子さまは11日、皇居内の紅葉山御養蚕所で、「御養蚕始(はじめ)の儀」に初めて臨んだ。明治以降、歴代の皇后が引き継いできた伝統行事で、雅子さまも今年から受け継ぐ。

 雅子さまは同日午前、お住まいの赤坂御所から車で皇居に入った。マスクを着用し、沿道の人や報道陣に会釈をした。

 御養蚕始の儀は、豊作を祈る神事の後、孵化(ふか)したばかりの蚕に初めて桑を与える「掃(はき)立(た)て」の作業をする。昨年は即位儀式などが重なり、養蚕関連の行事は行われなかった。養蚕作業は今後約2カ月間に及ぶ。

 皇居での養蚕は、明治天皇の妻・昭憲皇太后が養蚕業奨励のために始めた。国内の養蚕業の衰退が著しい現在は、日本文化の継承の意味合いが強い。上皇后美智子さまが皇后時代に育てた日本在来種の「小石丸」の繭で作られた糸は、奈良・正倉院の宝物模造品に使われた。(杉浦達朗、長谷文)

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