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  [日経新聞運動部記者 野元賢一]

  (8/10)女性騎手、懸命の手綱・中央競馬にわずか5人
復帰を果たした牧原は福永、和田らと同期。競馬学校時代からその技術は高く評価されていた
 中央競馬には現在、5人の女性騎手がいる。今年で最初の3人がデビューしてから5年目だが、思うように勝ち星は伸びていない。そんな中、牧原由貴子騎手(22、美浦・フリー)が先月、1年7カ月のブランクから復帰を果たした。細江純子騎手(25、栗東・フリー)も今春、シンガポールに遠征して勝ち星を挙げるなど、懸命の戦いを続けている。

 7月22日の福島競馬で、1年7カ月ぶりの復帰を果たした牧原は、女性では最多の23勝を挙げている。競馬学校騎手課程の同期から、福永祐一,和田竜二,古川吉洋の3人がG1を勝ったが、牧原は卒業の際、成績優秀者を表彰するアイルランド大使特別賞を受賞するなど、技術的には高く評価されていた。

 デビュー2年で20勝したが、体重調整の問題もあってか、3年目の一昨年は3勝と不振。その年の12月、中山競馬で落馬負傷し、右足首を故障する不運も重なった。一度はリハビリを始めたが、痛みが引かず、転院して再治療。ブランクが長引いた。復帰のメドが立った今年3月、増沢末夫きゅう舎からフリーに転向。復帰戦で乗ったマンダリンサンは、高市圭二調教師の管理馬だった。

 男女を問わず、騎手はいかに能力の高い馬に乗るかが勝負だ。最多勝を争うような騎手には騎乗依頼が殺到するが、ランク下位の騎手は騎乗機会が減り、技術向上のチャンスも減るという悪循環に陥る。日ごろから各きゅう舎を回って、調教を手伝うといった“営業活動”も重要になる。

 だが、競馬界、特にトレセンの中は、今時珍しい男性優位社会。JRAでは女性調教師はゼロ、調教助手やきゅう務員を合わせても約100人に過ぎない。同程度の技量の持ち主でも、女性騎手にはより高いハードルがある。

 特に、フリーに転向すると、所属きゅう舎以外に新たに人脈を築くという難作業が待っている。細江はデビューから半年でフリーに転向。デビュー3年以内の騎手の負担重量を1―3キロ軽減する減量特典も昨春でなくなり、騎乗数の確保に苦しんだ。シンガポールに遠征したのも、「このままでは騎乗機会がない」というのが動機だった。

 現地で1勝した細江は、その後福島で落馬負傷して休業していたが、再びシンガポールに渡って漢方の治療を受けて完治。今月中にも復帰する予定だ。(野元賢一)

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