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支度部屋より

平成19年五月場所 支度部屋より その2

 白鵬が見事に横綱に昇進しました。 それにつけても思い出されるのは、彼が去年横綱昇進を逃したとき、お母さんが掛けた「あの貴乃花さんでさえ、見送られたことがあったのよ」という言葉です。「上げてくれたっていいのにねえ」などという卑近な言葉で慰めるのでなく、「上がるのなら文句なしの成績で上がらなくちゃだめ」と、期待されている者だけに必要以上に過酷に課せられた試練への心の持ち方を、わかりやすく静かに指し示したのでした。お父さんもモンゴル相撲の偉大な横綱ですが、私は偉大な母親像をそこに感じたものです。  それから、彼は悔しさを乗り越え、ケガや悩みもいろいろ経験したことで、白鵬は誰からも祝福される状態で横綱を獲得したのです。貴乃花も全勝優勝を手土産に大横綱の道を突き進みました。ほかの人だったらあっさり昇進していたはずなのに、必要以上の期待!(?)ゆえに見送られた悔しさが、今回甘えを取り除いた完璧に近い形での昇進劇につながり、彼の将来が大きな確度を持ってさらに開けたと私は見ます。

 さて、開くといえば、彼の不知火型横綱土俵入りのせり上がりの形です。色白の長身に末広がりにサッと八の字が開いて実に格好がいいですね。時代考証的には明治?大正の伝説的強豪横綱太刀山が演じたとされる不知火型です。堂々としていて華麗ですね。
 それにしても千秋楽の優勝インタビューで、土俵入りの型が宮城野部屋創設者吉葉山と同じ不知火型になる、と答えたことを捉えて、フライング発言と報じたマスコミがあったことに、私はあきれました。横綱を目指して入門してきた者が、相撲を学び、部屋の歴史を知れば知るほど、先輩が演じた土俵入りに憧れるのは当然じゃありませんか。実際に一門というものがあり、その多くが前例に倣ってやってきています。そんな心の準備がないとしたらかえっておかしい。横綱昇進は発令まではマル秘といった建前だけの会社の人事とは違うのです。そういうことは正式に横綱昇進が決まってから言うべきだなんて、どこから来たんでしょう。横綱、大関昇進というのは角界を挙げてのお祝い事でもあり、普通の番付の枚数を明かすのとは違うのです。
 こういった相撲に愛情のない一知半解のやからが、へんてこな理屈をつけるから困るのです。「不知火型は短命が多いといわれる」なんて、その悪例の最たるものです。昭和で最初に不知火型を行ったのは、戦前から戦後に掛けて12年間も横綱を張った強豪羽黒山。その土俵入りは今でも語り草で、太刀持ちや弓取り力士までもがその姿に陶然となったといいます。この大横綱の存在さえ知らず、吉葉山という名前を聞きかじった記者(らしき)人間が吉葉山のことさえろくに調べもせず、北の富士と玉の海が同時に横綱昇進した際に、「短命うんぬん」などでっち上げ解説を書き、それが悲しいかな文献となって巣くってしまいました。吉葉山にしたって約4年間も務めているのですよ。ただ遅咲きだったため、ほかの横綱より引退がちょっぴり早かった。それだけで短命と書いたのです。これは不知火型の名誉にかけて許しがたいことです。そのあと、玉の海が現役中に亡くなったのは気の毒でしたが、ほかの横綱が短命らしく見えたりするのは、錯覚でしかありません。それぞれに事情があるだけのことで、雲龍型となんら変わりはなく、不運があったとしても不知火型のせいでは断じてありません。

 解きたい誤解がもうひとつ。俗に雲龍型のせり上がりの形は「右横に差し出した手は攻めを、左脇に曲げた手は守りを表し、攻守備わった理想の形である」とされています。確かに一見わかりやすく素晴らしい解説のように思えます。それはそれで結構です。しかしその理屈を不知火型に及ぼして「だから不知火型は攻撃一方の型で邪道」というのは当たりません。雲龍型と不知火型はどだい発想が違うのです。
 ぶつかり稽古を思い浮かべてください。大きく両手を広げて相手をどーんと受け止めますね。そうして思い切り当たらせておいてから、相手をブルトーザーのように根こそぎもっていくなり、左右に転がします。あのたくましい形、その大きな心を表しているのが不知火型のせり上がりの形である、としたらいかがでしょう。自己完結型の雲龍型より、堂々と受けて立ち相手を打ち負かす、より横綱らしい演武といえるのではないでしょうか。
 さらに加えていうならば、せり上がり時に一瞬前かがみになる姿勢をへっぴり腰と呼び、ケチをつける人が時おり見受けられます。冗談じゃない、あれは仕切りから立ち合いへの流れを表すもので、必要な動作なのです。そしてその後の不動の腰の備えが横綱相撲の真髄を示すのです。肩に力を入れずしっかり脇を締めるように真正面にせり上がっていく姿はまさに大相撲の華。白鵬には俗説に惑わされることなく、不知火型土俵入りを謳歌し、これを極めていってほしいと思います。
 元横綱栃錦の春日野理事長時代に行われた立ち合いの研修会で、参考映像として横綱羽黒山の土俵入りが上映されたとき、まるで怒涛のような波が押し寄せてくるような、その上下差の大きいせり上がりシーンに並み居る関取衆がいっせいに「オーッ!」という喚声を上げたシーンを、私は今、鮮やかに思い出しています。できれば、白鵬にそんな鮮やかな土俵入りを再現してもらい、多くの人を魅了し、少年たちに夢を与える存在になってほしいと思っています。

 さて、話が白鵬のことばかりになりましたが、今場所は上から下まで一所懸命の勝負を展開し、いい相撲を見せ、悲喜こもごもの人生を土俵上で見せてくれたように思います。横綱になってから連続して賜盃から離れたことのなかった朝青龍も、今場所を教訓に、東西に横綱が並んだということで、その境地をひとつ進めてくれるに違いありません。その他の関取衆も今場所の教訓は非常に大きいものがあるのではないでしょうか。この気持ちを忘れず、外国人、日本人力士の別なく、人間の尊厳に重きを置きつつ、先人たちが守り育ててきた素晴らしい伝統文化の何たるかを再確認してほしい。そして、この日本国民の趣味と情熱と知恵が守り育ててきた礼法のショーでもあり、正々堂々のスポーツである大相撲の担い手として立ち上がってほしいと願っています。



(ベースボール・マガジン社「相撲」編集顧問 下家義久)


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