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Alephの聖者たち クンダリニー・ヨーガの解脱者のドキュメンタリー 気を自在に操る聖者 ヴァジラハーサ師

気をはじけさせれば宇宙に意識が広がる

ある出家修行者はこう語る。
「ヴァジラハーサ師が道場で太極拳の演武をしていたのを、横で眺めていたんです。そうすると、自分の体内の気がガンガン上がっていくんですよ。自分も同じようにやっていたのならともかく、単に見ているだけであんなに気が上がるなんて……」

太極拳の演武 気を自在に操る聖者――ヴァジラハーサ師。

 実はすでに在家の会員のころから面白い体験があったという。それは、深夜セミナーで集中的に泊まり込んでいたときのことだった。ちょうど夏で、蚊が飛び回っている。蚊というものは人の肌を見ると近づく習性があるが、このときも例外ではなかった。修行中の師の周りにも蚊が近づいてくる。ところが、そのうるさい蚊が体に触れてこないのだ。腕に近づくと、ひゅっと遠ざかる。「ずいぶん変わった飛び方をするな」と思ったが、なぜかよくわからない。普通ならいくら追い払ってもしつこくまとわりつく蚊が、なぜか近寄ってこないのである。

  そのうち、師にはふとひらめいたことがあった。「ひょっとして、気の力で弾かれてるんじゃないか」――そこで、意識的に腕のあたりの気をふっと強めると、案に違わず、ものすごい勢いで飛んでいったのである。もちろん、蚊に触れたりしているわけではない。まさに、師の発する気の力で弾かれたのだ。

 そんなヴァジラハーサ師だが、以前から気功などをやっていたわけではない。かつては自己流で中国拳法を少しやっていた程度だ。それが、Alephの修行を進めるうちに、次第にダイナミックな体験をするようになった。それは蚊を吹き飛ばすといった小さなレベルにはとどまらない。

 たとえば、2001年秋に集中的に修行したときには、宇宙的な体験をしたという。

宇宙的な体験 このとき、師は、丹田の気を高めていた。丹田というのは、へその下の下腹部にあるポイントだ。文字どおりには「不老不死の薬を生み出す場所」という意味である。古代中国の医学では、ここに力を入れれば健康と勇気を得るとされるが、要するに気を集中させるポイントといえる。師は、この丹田の気を刺激したのだ。

  気がどんどん高まっていく。それが突然、バーンとはじけた。あたかもビッグバンのように球状にはじけ、それがどんどん広がっていく。気が宇宙まで広がる感覚があり、勢いに乗って、意識も宇宙に広がっていくように感じられた。

 気を操ることで、意識が宇宙大に拡大していったわけである。

気の流れは視覚的にも体感的にもわかる

現在、ヴァジラハーサ師は教団内で太極拳などの中国拳法の指導をしている。これは、体内の気を強め、エネルギッシュに活動できるように、また肉体的に健康になるようにという目的で実践されているものだ。ヴァジラハーサ師の的確な指導によって、自分でも気を感じられるようになったり、気を強め、操ることのできる修行者が育ちつつある。

中国拳法の指導1 しかし、自己流の拳法を少しやっただけで、だれかにきちんと教わったことのない師が、どうして的確に指導できるのだろうか。

 まず、拳法のテキストに書かれていることが正しいかどうかは、試してみればわかるという。つまり、テキストどおりに実際にやってみて、その気の流れの感覚と記述が合っていれば正しいと判断できるし、違っていれば記述が間違っていると考えられる。
「自分自身の気の流れって大体わかるからね、それを認識しようとしたら」
とヴァジラハーサ師は獅子吼する。

  こうして、正しいやり方がわかったら、ほかの人にそれを教えることになる。しかし、気の流れというものは微妙なもので、ほんの少しの違いでも――髪の毛一本分とか一ミリといった違いでも――気の流れが完全に変わってしまうのだという。それを、ヴァジラハーサ師は的確に修正していくのである。気を流すのに適した体の位置、姿勢、操作といったものを修正し、相手の気が最も通りやすくなるようにしていく。どうしてそのような芸当が可能になるのだろうか。

 それは、ヴァジラハーサ師には、自分自身の気の流れだけでなく、ほかの人の気の流れもわかるからである。「視覚的にもわかるし、体感的にもわかるね。流れた瞬間、『流れた』ってはっきりわかる」というのだから、まさに正確きわまりない指導といえよう。

 師の指導は、正しいテキストを見つけだして伝授するだけでなく、気の実際の流れを修正するレベルに至っているのである。

◆◆◆気とはなにか◆◆◆

 “気”という言葉そのものは、すでに気功や中国医学が普及している現在、皆さんにもおなじみではないかと思う。簡単にいうならば、目に見えない生命エネルギー。しかも、その“気”のエネルギーは、人間の意識と深い関係があるのではないか、と研究者は語っている。

  人体には、この気の流れ道がある。中国医学ではこれを“経絡(けいらく)”と呼び、経絡の中を気がスムーズに流れるように、また気そのものを強めるのが仙道の修行といえよう。実は、これによく似た考え方はインドのヨーガにも存在しており、プラーナと呼ばれる気が、経絡に似たエネルギーの通り道(ナーディー)を通る、と考えている。

  気を強め、気をスムーズに流す。これこそが仙道・ヨーガに共通する技法なのだ。ただし、厳密に言えば、経絡は体表に近いところを流れる粗雑な“外気”の流れ道であり、ヨーガでは、外気に加えてさらに深い“内気”をも扱っている。

  ヴァジラハーサ師は、これらの気の流れを体感し、コントロールしている聖者なのである。

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