米国では90年代からネーミングライツの動きが拡大
「ネーミングライツ(naming rights)」という企業活動が日本で一般化してきた。これは企業が対価を支払って野球場・スポーツ施設・公会堂など公共施設や場所の命名権を獲得することである。日本でよく知られた例では「味の素スタジアム」(旧名:東京スタジアム)、「日産スタジアム」(同横浜国際総合競技場)などがある。
ネーミングライツの事例はスポーツ施設だけに限らない。私道である有料高速道路の「箱根ターンパイク」が「TOYO TIRESターンパイク」と命名されたこともある。このようにネーミングの権利を企業に売るさまざまな事例が出てきた。
米国では90年代からこうした動きが盛んになった。高額な事例としてはアメリカンフットボールのヒューストン・テキサンズの本拠地のネーミングライツが挙げられる。この命名権を獲得したリライアント・エナジー社にちなんで「リライアント・スタジアム」と名づけられた、そのネーミングライツ料は年間1千万ドルとされている(引用1)。
こうしたネーミングライツの適用範囲が拡大するにつれて、施設に突然聞きなれない企業名がつくようになっても、我々はさほど奇異には感じなくなった。しかし一方で問題が起きていないわけではない。