【米大統領選2020】 民主中道派がバイデン氏で結束 左派サンダース氏と対決構図へ

ブタジェッジ氏(左)、クロブシャー氏(右)、バイデン氏

画像提供, AFP

画像説明, 米大統領選から相次ぎ離脱したブタジェッジ氏(左)とクロブシャー氏(右)は2日、それぞれバイデン氏(中央)の支持を表明した

米大統領選挙の民主党候補者争いが、左派バーニー・サンダース上院議員と中道派ジョー・バイデン前副大統領の一騎打ちの様相を見せ始めた。14州で予備選が開かれる3日のスーパー・チューズデーを目前に、中道系の候補が相次いで撤退へと動いた。

ピート・ブタジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長(38)が1日に選挙戦からの離脱を表明したのに続き、エイミー・クロブシャー上院議員(ミネソタ州)も2日、撤退を表明した。

両者は2日夜にテキサス州ダラスで開かれるバイデン氏の集会に参加し、同氏への支持を表明した。

クロブシャー氏は登壇し、「テキサスのみなさんには、ジョーに投票してもらいたい。誠実に投票してください。尊厳のために投票してください」と呼びかけた。

クロブシャー氏は討論会で高い議論の力量を見せ、ニューハンプシャー州では好結果を残した。しかし支持を広げられず、2月29日のサウスカロライナ州予備選は6位に沈んでいた。

ブタジェッジ氏はダラスでの集会で、自分が出馬したのは「ドナルド・トランプを倒すためだった」として、その目標のために「喜んでジョー・バイデンを支持する」と言明した。さらにツイッターでは、「トランプに勝つ唯一の方法は、アメリカ人の誠実ぶりを反映する政治だけだ。僕も選挙戦でそれを実践しようとしたし、ジョー・バイデンはこれまでずっと誠実に生きてきた」と書き、バイデン氏を「次の総司令官にするお手伝いをする」と述べた。

同じ集会には、テキサス州で人気の高いベト・オローク前下院議員も参加し、自分はテキサスの予備選でバイデン氏に入れるつもりだと述べた。オローク氏は昨年11月まで、民主党の候補争いに出馬していた。同州は人口が多く、候補選びで影響力が強い。

<関連記事>

これまでバイデン氏と候補指名を争っていた3人の動きは、民主党内の穏健派が有権者たちの支持をバイデン氏に集中させ、代議員獲得数でトップを行く急進的なサンダース氏の独走を阻もうとする意向を反映したものとみられる。

バラク・オバマ前大統領の国家安全保障問題担当補佐官だったスーザン・ライス氏も2日、バイデン氏への支持を表明。民主党のマーク・ウダル、タミー・ダックワース両上院議員やハリー・リード前上院院内総務もこの動きに加わった。

クロブシャー氏の撤退で、民主党の候補者選びは残り5人となった。バイデン氏とサンダース氏のほか、エリザベス・ウォーレン上院議員、マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長、タルシ・ギャバード下院議員がスーパー・チューズデーに臨む。38歳のギャバード氏のほかは全員が70代。

分析「バイデン特急」に全員が乗車――アンソニー・ザーカー北米担当記者

バイデン氏の選挙運動列車は満席になりつつある。クロブシャー氏とブタジェッジ氏は、バイデン前副大統領と一緒に2日夜にステージに上がるため、ダラスに向かっている。両者はそこでバイデン氏への支持を表明すると報じられている。

「エスタブリッシュメント」候補のバイデン氏と、アウトサイダーのサンダース氏の対決構図が固まりつつある。両者はスタイルや感性が対照的で、民主党員は党の進路について、明快な選択をすることになる。

もちろん、そこまで単純でもない。ウォーレン氏は進歩的左派の受け皿として選挙戦に残る模様だし、ブルームバーグ氏もスーパー・チューズデーに向けて資金を爆弾のように投下し続けている。

それでも、今回の動きはバイデン氏にとって非常に幸運だと言える。ここ数日間、全米の民主党議員らから支持が集まっている。

一方、サンダース氏のわずか1週間前のネヴァダ州における大勝は、同氏の選挙運動を強く勢いづけることにはならなかった。代わりに、その進歩的革命の呼びかけに賛同しない穏健派などが目を覚まし、別の候補に支持がまとまる動きが加速した。

1年以上続いてきた民主党候補争いは、時間単位で状況が変わる段階を迎えている。