オバマ前大統領が選挙集会でトランプ氏を批判 大統領もオバマ氏を攻撃
アメリカのバラク・オバマ前大統領は21日、民主党のジョー・バイデン大統領選候補の選挙集会に参加し、現職のドナルド・トランプ大統領を批判した。この日はトランプ大統領も別の場所で集会を行っており、オバマ氏を攻撃した。
激戦州ペンシルヴェニア州での集会に参加したオバマ氏は、トランプ大統領を「頭のおかしいおじさん」と呼んだほか、人種差別主義者だと非難した。
これに対し、ノースカロライナ州で集会を開いたトランプ大統領は、オバマ氏が2016年大統領選の結果を見誤ったことをからかった。
大統領選まで2週間を切った現在、世論調査では全国的にバイデン候補が優勢となっている。ただ、大統領選の結果を左右するいくつかの主要州では接戦状態にある。
今回の大統領選ではすでに約4200万人という記録的な人数が直接、あるいは郵便で期日前投票を終えている。
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トランプ大統領はこの日も、集会での演説でバイデン氏への攻撃を続けた。
トランプ氏は、有権者には「トランプの超回復」か「バイデンの急激な恐慌」のどちらかを選ぶことになると述べた。
バイデン氏はこの週、22日にテネシー州ナッシュヴィルで開かれる第3回討論会に備えるため、集会を控えている。一方でトランプ氏は激戦州を回って集会を続けている。
こうした中、オバマ氏が8月の民主党全国党大会以来となる、選挙活動に参加。トランプ氏はこの機会を見逃さなかった。
トランプ大統領が「オバマ以上に、いんちきヒラリー・クリントンのために選挙活動をした人はいなかっただろう?」と問いかけると、会場からはクリントン氏に対するブーイングが巻き起こった。
「オバマはそこら中にいた」
「(選挙当日の)あの夜、バラク・フセイン・オバマはいんちきクリントン以上にがっかりしていたと思う」
トランプ氏はさらに、オバマ氏が在任中に副大統領を務めていたバイデン氏の出馬に難色を示していたという報道をからかった。
オバマ氏は2016年、バイデン氏よりクリントン氏の方がトランプ氏に対する勝算が大きいと見て、バイデン氏に出馬しないよう圧力を掛けたと報じられている。
また昨年には、民主党幹部に「新しい血」が必要だと発言しており、これもバイデン氏に対するコメントだとみられている。
オバマ氏は何と?
オバマ前大統領は今なお、民主党で最も人気のある政治家の1人。
オバマ氏はトランプ氏の新型コロナウイルス対策や経済政策を批判した後、トランプ氏のツイートについて言及。もしバイデン氏が勝利すれば、「自分を支持しない人を誰彼構わず中傷したり、刑務所に送ると脅すような大統領はいなくなる。あれは普通の大統領の行動でははない」と述べた。
さらに、トランプ氏のやり方は「どこかの頭のおかしいおじさん」でもない限り、家族でも許せるようなものではないとからかった。「頭のおかしいおじさん」という表現は、15日にNBCニュースが放送した対話集会で司会者がトランプ氏をそう呼んだことにちなんだものとみられる。
「どうしてあんな振る舞いをみんな許して、言い訳するんだ? あああれは、だって、あの人はそういう人だから……って。そうじゃない、それじゃだめだ! (トランプ氏の)行動によって、実際に影響が出ている」
「人を残酷にするし、分断している。人種差別につながっている。私たちの社会を織り成すものを、擦り切れさせている」
「そういうふるまいは問題だ。人間性は大事なんだ」
オバマ氏は新型ウイルスのパンデミックにも触れ、「ドナルド・トランプが急に私たち全員を守ってくれるわけじゃない。自分を守るための、基本的なことさえできていないのに」と批判した。
ドライブインで行われた集会には280台ほどが集まり、声援の代わりにクラクションが鳴らされた。
オバマ氏は今後、激戦州となるかもしれないフロリダ州へ向かい、マイアミやオーランドなどで集会に参加する予定。