10時台を聴く
21/12/26まで

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おおにしかずまくん(小学1年生・兵庫県)からの質問に、「昆虫」の清水聡司先生が答えます。(司会・石井かおるアナウンサー)

【出演者】
清水先生:清水聡司先生(大阪府営箕面公園昆虫館 副館長)
かずまくん:質問者


――お名前を教えてください。

かずまくん: かずまです。

――かずまくんは、どんなことを聞きたいですか?

かずまくん: 蚊は刺すときに唾液で麻酔をして人間に痛みがないようにするけど、もし唾液がなかったら刺されたときどれくらい痛いんですか?

――おお……。かずまくん、蚊が唾液で痛さをまひさせているということ、よく知ってましたねえ。調べたんですか?

かずまくん: はい。

――どうやって調べたんですか?

かずまくん: 図鑑と、 お母さんにも聞きました。

――そうだったんですね。清水先生に教えてもらいましょう。お願いします。

清水先生: かずまくん、こんにちはー。
かずまくん: こんにちはー。
清水先生: すごいこと知ってんねんなあって、おじさんも思ったんや。ねえ。かずまくんは、もしその唾液の麻酔成分がなければ、どれぐらい痛いと思う?
かずまくん: ちょっと痛いと思う。
清水先生: ちょっと痛いと思う、そっか。えっとね、ときどき蚊に刺されてチクッとするというのは、かずまくん、経験ないかな?
かずまくん: あんまりない。
清水先生: あんまりないか。唾液がうまく出なかったのか、ちょうど痛いところに当たっちゃったのか、なぜだかわかんないけど、ときどきチクッとすることがあります。「あ!」って思って見ると蚊がまさにとまって血を吸おうとしている、そういう経験を、たぶんこれからすることあると思うんやけれどもね。

えーっと、どっからいこうかなあ……。どういう痛みかっていうのを先に言っちゃうと、針の先でちょっと刺された、ピッと触られたような、そういう感じなんです。って言っても、わかんないよね……。かずまくん、なんで痛いかっていうのは、わかる? なんで刺さると痛いかっていうの、わかる? 人間の体の仕組み。
かずまくん: ……わかりません。
清水先生: かずまくんの体には、「痛点」という痛みを感じるセンサーがいっぱいついてるのね。「センサー」っていうの。それは全体的についてるんじゃなくて、全体に散らばってるんやけれども、センサーは点々とついてるから、そのセンサーに当たらなければ、実は痛くない。
かずまくん: はい。
清水先生: ただね。1センチ四方に、って、わかるかな?
かずまくん: はい。
清水先生: 1センチ四方に、もう、たくさんあるの。100個とか200個とか、すごいいっぱい小さな痛点というセンサーが備わっているのね。ただ点々やから、そこに当たらなければ痛くないの。

しかも蚊はもともとね、唾液以外にも、ばれにくい仕組みを持ってるの。蚊の口って、細かいパーツに分かれてて、昆虫の口って、ざっくり言っちゃうと、上唇があって、それから大あご、「大あご」ってわかる? クワガタの大きなあご、見たことある?
かずまくん: はい。
清水先生: あそこまで大きくないんやけれども、ああいう大あごっていうのがあります。それからその下に「小あご」っていうのが左右にあるのね。あごが2つあんねん。その下に、下唇があります。仕組みを言うとまた細かくなるんやけれども、その小あごの部分が、人の皮膚を切り裂いていくというか、口が人の皮膚の中に入るように穴を開けていくんやけれども、それが、のこぎりのようにギザギザなの。左右のノコギリを交互に前後させて、少しずつ、皮膚の中に口を入れていくのね。
かずまくん: はい。
清水先生: ただね、その小あごっていうのが、すごく細いの。めちゃめちゃ細いねん。1ミリの100分の1とか、150分の1とか、本当に細いの。1ミリって、すごく小さいでしょう? それよりもっともっと細いの。だからそれを1本ずつ交互に左右で突いていくから、あんまり痛くないねん、小さいから。
かずまくん: はい。
清水先生: あと小あごがギザギザなので、皮膚に当たる部分というのは、そのギザギザのとんがった部分、ノコギリの刃の先端部分だけが当たるので、全体がべったり当たるわけじゃないので、あんまり痛くないっていう仕組みをもともと持ってるのね。ちょっとイメージしにくいかもしんないけど。

そこにプラスして、口には「咽頭」というのがあるんやけれども、その口の部分から唾液を出して、その唾液の中に、さっきかずまくんが言ってくれた、痛くないように麻酔をする成分、それから血が固まらないようにする成分、途中で血が固まっちゃうと口が抜けなくなるからね。そういう成分が入ってて、痛くないようにできてる。だからもし麻酔成分がなくても、普通の注射に比べると、「注射」って、痛いイメージ、あるでしょ?
かずまくん: うん。
清水先生: けど、あれも針がすごく細いので、当たりどころによっては全然痛くないときがあるのね。それは細いから。それで蚊の口は、細いうえに小あごのギザギザの機能があるので、もともとあんまり痛くなくできてて、そこにさらに麻酔ができるので、全然知らないうちに血を吸われちゃう。そういう仕組み、してます。その口の大きさっていうのが、大体1ミリの10分の1よりちょっと細いぐらい。「10分の1」っていう言い方、わかる?
かずまくん: わかる。
清水先生: うん。「100マイクロメートル」っていうやつやねんけどね。でね、どういう痛みかっていうの、たぶん知りたいと思うんやけれども、かずまくん、髪の毛を1本、はさみでちょっとだけ切って、それを、手になるべく短く持ってください。そしてその髪の毛の先を、ほっぺとかにチクチクって刺してみてください。太さが大体蚊の口と似てるから、麻酔がなければ大体それぐらいの痛みだっていうのを、かずまくんの質問の答えにしておきましょうか。
かずまくん: はい。
清水先生: お母さんと一緒に実験してみてください。
かずまくん: はい。
清水先生: コツはね、髪の毛を切って、なるべく短く持ってください。長いとフニャフニャするのでね。

――切った髪の毛の先がまっすぐ皮膚に当たるように持って。

清水先生: それでツンツンって、つついてみてください。大体それぐらいの痛みです。

――かずまくん、わかりましたか?

かずまくん: はい。

――またわからないことが出てきたら、質問してくださいね。まずは先生のおっしゃったことをやってみてください。どのぐらいの痛みなのか、想像できると思います。

清水先生: 蚊の小あごに比べると、だいぶ太いけどね(笑)。疑似体験してみてください。

――かずまくん、ありがとうございました。さよなら~。

かずまくん: さよなら~。
清水先生: さよなら~。

【放送】
2021/10/31 子ども科学電話相談「昆虫」 清水聡司先生(大阪府営箕面公園昆虫館 副館長)

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