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WEB BEA VOICE Vol.266 TOP  BACK NUMBER  ARTIST INDEX  BEA-NET
儚さは決して絶望的な事ではない、そう思えるんです。
●TEXT/NAOMI KUBOYAMA
 自分の内面 にある部分をオブラートに包むことなく、ストレートに吐き出した詞とメロディ。デビューしてまだ1年も経ってないが、少しずつ変化と成長を果 たしながら恐れることなく前に進み続け、独自の世界を繰り広げている彼女。4枚目となるマキシシングル『カゲロフ』をリリース。今回は詞の一部とメロディが違う同名タイトル『カゲロフ』『かげろう』2曲収録されているのも驚きと共に興味深いことだ。

「この2曲作ってみて歌詞も変えれなかったし、リリースとして有りなのか?と思ったけど、時間が経つにつれて同じところから生まれてきた双子のように思えて、捨てられない気持ちが強くなっていった」
 『カゲロフ』はピアノの旋律が彼女の世界へとやさしく誘ってくれるよう。一方『かげろう』では、打ち込みのリズムにのる彼女の歌がどこか痛々しく感じられる。どちらも彼女自身の存在を見せ付けてくれるのは確かだが、詞の世界感は今までの作品より外に広がったようだ。自分を吐き出すというより、生きていく上で避けては通 れない他人との関わりを彼女の目線で描いている。
 「最初“あなた”という対象に向っているつもりが、自分が興味ある人、好きになる人、憧れの人だったり。結局その人を通 して自分を見詰め直せるかどうかで、私の気持ちの中にも、アルバムを作ってみて自分が見えなかった部分や人間関係にもちゃんと目を向けられるようになった。先にメロディが出てきて、“逃水”をキーワードに詞を作っていった。“にげみず”は追いかけても逃げていく一種の蜃気楼現象の事。自分がすごく大切に思っている人と話をしていても、その人の痛みや悩みを言葉で聞く事は出来ても絶対その人にはなれない。そういう儚さはいつもつきまとうけど、それは決して絶望的なことではないなと思う。そういう部分をこの曲で描いてみた」
 儚いとか虚しいとか思ってしまう人間の弱い部分を描きつつも、しっかり前を向いて不器用ながらも彼女は人と関わり、歌うことによって少しずつ心が軽くなっていくのであろう。ライヴでもその圧倒的な存在感が印象的だったが、初めての福岡ライヴは相当パニック状態になってしまったそうだ。
 「歌い手としての自分の前に書き手の自分が居て、その前に生身の人間がいる。でもライヴとなると聞き手としての自分も出てきて、聞き手の自分と生身の自分の距離感がものすごく難しかった」
 ライヴはまだ慣れないと言うが、生身の山本美絵が書いた歌を発する時、その先にある確かな物をつかみ成長し続ける。次はどんな曲やライヴを見せてくれるのか楽しみにしていたい。

PROFILE/1978年7月11日生まれ。19才で受けたオーディションで優勝は逃すが声がかかり2000年8月『カーネル』でデビュー。強烈な詞と独特な声が印象的で全国FM局パワープレイを多数獲得。音楽はもちろんのこと、個性あふれるタッチのイラストや文章も必見もの。
オフィシャルHP:
http://www2.fmnorth.co.jp

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