水逕黎邱故城。又南与疎水合。疎水。出中盧県西南。東流至即県北界。
東入
魚。射之不可入。七八月中。
好在磧中。自曝膝頭。似虎掌爪。常没水中出膝頭。小児不知。欲取弄戯。便殺人。有生得者。摘其皋厭。可以小便。名為水唐者也。後漢郡国志注。
引盛氏荊州記云。生得者。摘其鼻厭。可少小便。名為水廬。十道志引襄
水トアレバ。
河童ノ水虎タル知ルベシ。然シ水唐ノコト。僅ニ此ニ出ヅルノミニテ。他書ニ所見ナシ。西土ニハ水虎ノ害。至テ罕ナル様ニ思ハル。一ハ鼈本草啓蒙ニ云。
朱鼈。備前岡山ニテハ。ドウマン。周防ニテハ。ゼニガメト云フ。小鼈ナリ。一寸許腹下赤ク。甚強キモノナリ。大ナル物ヲ引込ム。人水中ニ浴シ。
偶コレニ逢ヘバ。引込ルヽナリ。腹黄赤色ニシテ。黒班文アリ。人背ニ附ケバ。乍チ沈ムトイヘリ。水虎ニ引込ルヽト云フハ。多クハコノ朱鼈ナリ。
出雲ノ方ニ多クアリ。土人見ル毎ニ捕テ殺スト云フ。京師ニテハ。未ダコレアルヲ見ズ。一ハ水蛇江戸近処ニテハ。中川ニ多ク居ルト云コト。
中川ニ釣スル者ノ話ニ。水面ヨリ一尺許リ下ヲ。此岸ヨリ。彼岸ヱユク。其疾キコト箭ノ如シ。形ハ聢ト認メガタケレド。大抵青タイシヤウト云。
蛇ニ似タリ。コノ蛇水中ニテ。人ノ手足ヲ纒フトイヘドモ。捕殺スコトヲ聞カズ。又出羽最上川ニ薄黒クシテ扁ナル小蛇アリ。ヨク桴ニ附テ人ヲ捕殺スト云フ。
佐渡ニハコノ蛇最多ト聞ク。ナリト云フ。今コノ三屍ヲ検視スルニ。河童ニ捕ラレタルハ。口ヲ開テ笑フガ如ク。水蛇ハ歯ヲ喰ヒシバリ。
向フ歯二枚カケ墜チ。鼈ハ脇腹章門辺ニ。爪ヲ入レシ痕アリテ死ス。コレヲ以テ分別スベシ。何レモ肛門ハ開ク。世人肛門ヨリ入テ。臓腑ヲ食フト云ハ非也。
スベテ溺死ハ。肛門開クモノナリ。何トナレバ。死スル時口ヨリ押入ル水。肛門ヨリ出ヅル故ニ。肛門爛開セザルコトヲ得ズ。
及ビ其炭ヲ忌ミ。蜀黍
ヲ悪ム。若シ人口ニ鉄物ヲクワヘ居レバ。
水ニ引入ルヽコト能ハズト云フ。ソノ形状ハ人ノ如ク。両目円黄鼻ハ突出シ
猴ノ如シ。口ハ大ニシテ狗ノ如ク。歯ハ亀歯ノ如ク。
上下四牙尖レリ。頭ニ短髪アリ。色赤シ。額上ニ一孔アリ。深サ一寸。上ニ葢アリテ蛤ノ如シ。面ハ青黒色。背色ハ亀甲ノ如ク。ソノ堅キコトモ同ジ。腹モ亀版ノ如クニシテ。
黄色ナリ。左右脇下ニ。一道ノ竪条アリ。柔軟ニシテ。白色ナリ。コノ処ヲ執ル時ハ動クコト能ハズト云フ。手足ノ形ハ人ノ如ク。青黒色ニシテ微黄ヲ帯ブ。
四指短クシテ爪長ク。指間ニ蹼アリ。手足ヲ縮ル時ハ皆甲版ノ間ニ蔵ルヽコト亀ニ異ナラズ。手足ノ節。前後ニ屈スルコト。人ニ異ナリ。当六月朔日。水戸浦より上り候。河童丈三尺五寸余。重十二貫目有之候殊に外形より重く御座候。海中ニ而赤子之鳴声夥敷いたし候間。 猟師共船にて乗廻り候得者海の底にて御座候故。網を下申候処。色々之声仕候夫よりさしあみを引廻候へハ鰯網之内へ。十四五疋入候而おとり出し逃申候。船頭共棒かひなどにて。 打候へとも。ねばり付。一向にきゝ不申候。其内壱疋船之内へ飛込候故とまなと押かけ。其上よりたゝき打殺申候。其節迄やはり赤子の鳴声致申候。 河童の鳴声ハ赤子の鳴声同様ニ御座候。打殺候節屁をこき申候。誠に難堪にほひにて。船頭など後にハすらひ申候打候棒かひなと。青くさきにほひ。 未去り不申候。尻の穴三有之候。総体骨なき様に相見へ申候。屁の音ハスツスツと計り申候。打候へハ。首ハ胴の内へ八分程入申候。胸肩張出脊むしの如くニ御座候。 死候而ハ首引込不申候。当地ニ而度々捕候得共此度上り候程大きなる重きハ。只今迄見不申候。珍敷候間申進候已上。
六月五日 東浜 権平治
浦山金平様