【10月21日 AFP】米国とロシアは20日、シリアで空爆を実施する両国の軍用機が衝突事故を起こさないよう安全策を確立するための覚書に署名した。米国防総省が同日、発表した。

 ピーター・クック(Peter Cook)国防総省報道官は、覚書は即日発効したと発表し、「米軍機とロシア軍機が衝突事故を起こすあらゆる危険性の回避を目指した一連の手順が定められた」と述べた。ロシア政府も、両国がこの覚書に署名したと発表した。

 米国防総省によると、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)シリア大統領の政府軍を支援するため先月30日にロシアがシリアでの空爆を開始した後、ロシアから「衝突回避」のたの協議の呼び掛けがあったという。

 一方でクック報道官は、この覚書はロシアの対シリア戦略に関する包括的な合意ではないと強調。「この覚書は、協力域や情報共有、またはシリア領内の標的に関する情報の共有を定めるものではない」と述べた。

 さらに、「米国は引き続き、シリアにおけるロシアの戦略は非生産的であり、アサド政権の支援はシリア内戦の悪化を招くだけだと考えている」と話した。

 米国はイラクとシリアのイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」を標的とし、60か国以上が参加する有志国連合を主導し、1年以上前から空爆を実施している。

 ロシアはシリアでの空爆について、ISとその他の「テロリストら」を標的にしていると主張しているが、米国防総省はロシアがISではなく、アサド大統領の政府軍と戦う反体制派を攻撃していると批判している。(c)AFP