ゴルフ場開発、容認できない 市民団体が県に反対要請
- 2021年09月04日
- 社会・経済
【那覇】前勢岳北方で㈱ユニマットプレシャスが計画するゴルフ場付きリゾート開発をめぐり「我(ば)がーやいまの自然環境を考える会」の宮城信博会長とアンパルの自然を守る会の島村賢正共同代表らが3日、県庁に玉城デニー知事と赤嶺昇県議会議長を訪ね、開発計画に反対する要請と陳情を行った。
計画地周辺には西表石垣国立公園があり、ラムサール条約登録地域の名蔵アンパルと、水系の一つとされるウガドゥカーラの沢がある。国の特別天然記念物のカンムリワシの生息も確認されている。
考える会は計画地について「かねてより農・畜産業にとっての一等地とも評され、今後長きにわたり安定的な生産拠点になることが期待される」「自然の恵みの集約地点でシンボル的な景勝地でもあり、市民の心のよりどころ。むやみに破壊されることは到底許容できない」などと指摘。
県環境影響評価条例の目的と県環境基本条例の基本理念に基づき▽環境影響評価がSDGsの理念に基づき実施できるとする根拠▽使用するとしている地下水量1日当たり約950㌧が環境に影響を与えないとする根拠▽施設の経済効果を年間約250億円と見込む算出根拠―を示すことを要請した。
守る会は▽地下水頼みのホテル建設は認めないで▽カンムリワシ保護対策を市や国と連携して推進を▽景観を損ね、光害をもたらすホテル建設を止めて―などを求めている。
宮城会長によると、対応した照屋義実副知事は「法令をクリアしてさえいれば許可せざるを得ないことも出てくるだろうが、(両会の)思いと考えについてはよく分かった」と答えたという。
会見で宮城会長は「こんな野蛮な工事が強行されると思うとたまらない。知事意見には3~4年時間をかけるべきだとの項目もある。県には政治判断を加えた対応を取ってほしい」、島村共同代表は「計画は石垣市や八重山の未来のためにはならない。自然を守り、保全していくことが100~200年後の子孫に対する私たちの贈り物だ」と訴えた。
開発計画については石垣市が地域未来投資促進法に基づき提出した土地利用調整計画に8月30日付で県が同意。事業者の牽引事業計画提出や農振除外・農地転用の手続きなどを残すのみとなっている。
環境アセスメントの手続きでは、知事意見を受けた環境影響評価書の補正評価書を事業者が作成中。県に提出後は1カ月の広告・縦覧を経るが意見募集は行わず、手続きは終了となる。
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