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故・エースホテル創設者を偲んで

  • Alex Calderwood

    Alex Calderwood (photo: Damon Way)

週、ホスピタリティ業界で近年最も勢いを見せているホテルグループ、エース・ホテル(Ace Hotel)の共同創設者アレックス・カルダーウッド(Alex Calderwood)氏が、47才という若さで亡くなりました。エース・ホテルは1999年、シアトルに第一弾をオープンして以来、ロックテイストなデザインと若い旅行者を考慮した料金帯で、日本はもちろん、世界の旅好き・デザイン好きの人々の間で知られるように。その後、カリフォルニア州パームスプリングス、ポートランド、そしてニューヨークへと進出し、今年はロンドンにオープンしたばかり。来年1月にはロサンゼルスに、その後はパナマにも展開が予定されているとあって、これからの活躍ぶりがますます期待されていた時だけに、関係者はもちろん、私たちファンも、沈む心を否定できません。以下は2009年に彼を取材したTablet Hotels編集部スタッフ、ジョン・スペランザからの追悼メッセージです。

「僕が彼と実際に顔を合わせたのはこれまで1回だけ、Tabletマガジンの取材のため、古いデニーズを改装したエース・ホテル&スイム・クラブ(Ace Hotel & Swim Club)のレストラン内で、コーヒーを飲みながらのことでした。当時まだオープン前だったエース・ホテル・ニューヨーク(Ace Hotel New York)のことや、陽を見ることが少ない真冬のシアトルを抜け出した人だけが知るパームスプリングスの魅力など、話題盛りだくさんの会話だったことを思い出します。

その後、僕はニューヨークのエースに十数回泊まり、自らもシアトルに引っ越すことになり、彼の言っていた陽を見ない冬というものを実際に体験するようになりました。けれどアレックスとの会話の中で最も心に残ったのは、謙虚で思いやりあるエースの哲学をシンプルかつ誠実に語った彼の言葉でした。そこには僕らが思うエースの成功の秘訣が収められていて、彼のいないホテル界は、これまでより少し寂しくなるだろうと思う理由にもなっているんです」。

2009年インタビューより:

エースは、あなたが個人的に求めるホテルの理想像をそのまま形にしたようなプロジェクトに思えますが。

実際、その考え方は間違ってないよ。僕らの手がけるもののほとんどは、直感任せなんだ。感覚的に、こうしたらいいかな、って。特定の客層を狙っていろいろ仕掛けたり計算したり、ってことはほとんどしてなくて、ごく単純に、自分たちっぽくやってるだけだからね。同志は同志を集めるものなんだよ。

内部で話するときも、セールス担当にしても、僕らにとって大事なのは売ることではなく、分かち合うことなんだ。そういう意味で、ほかとは意図するところが違ってる。それは敷地内全体、スタッフ全体を通しても反映されてると思うよ。僕らが面白いと思うものや、僕らが面白いと思う人たちを、ここでの体験を通して分かち合ってもらってるってわけ。

そもそも、あなたがホテル業界に足を踏み入れたキッカケはなんだったのですか。

僕ら自身は、どちらかというと自分たちはホテリエというより、事業家だと思ってる。シアトル在住でも、僕らはかなりたくさん旅して、ホテルと、そもそも旅っていう体験を、本当に楽しんでたんだ。だから、それはいつも頭にあったんだけど、そこにホテルの企画が舞い込んできたってわけ。でも当初は、それ以上のことをしようとは考えてなかった。(ホテル業界の)経験ないまま、体当たりで飛び込んだんだ。ある意味、そのナイーブな未経験さが、結局プラスになったんだろうと思う。自分たちなりのやり方でアプローチする結果になったから。なにが当たり前で、なにが型破りか、なんて考えてなかったからね。

そうして今、僕にとってインスピレーションになっているのは、ホテルっていうのは、たくさんの人のふれあいの舞台となるとっても興味深い入れ物っていうか、コンテナのようなものなんだなっていう考え方。客室を売るっていう部分は単なる取引に過ぎないけれど、ホテルは人が集まる場所でしょ。僕らにとってもっと重要なのは、それ以外の部分すべて。体験を提供すること、そして僕の好きな言い方をすると、文化的触媒、ふれあいの瞬間というものを造り出すことなんだ。五感すべてを刺激するものであり、人間が中心になっているものであり、分かち合うことがテーマになっていて・・・。結局のところそのすべてが、穏やかに世界をナビゲートするための、ひとつのもてなしの形なんだな、って思うから。

Tablet Magazine Editorial Staff

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