エンタメ

コンビ仲の悪い芸人。生放送中のオール阪神・巨人のガチ喧嘩に背筋が凍った

実は仲が悪かったオール阪神・巨人

 私は今年でコンビ結成46年目になられたオール阪神巨人さんの漫才台本の多くを8年目から書かせて頂いています。  書き出した当初、打ち合わせで楽屋へ入り3人だけで話をして、2~3時間後に楽屋を出ると、芸人さんや吉本の社員さん、先輩作家さんらから「ようあの中(楽屋)へ入れるな」とか「どうやった?どうやった?」とよく聞かれていました。 「(台本のできが)もうひとつでした…」と答えると「そうやなしに雰囲気やがな空気やがな」と言われ、最初はその意味がわかりませんでしたが、「仲の悪い」2人の様子を聞きたかったのだということが後にわかりました。  現在は本当に「仲のいいご兄弟」というお二人ですが、阪神・巨人さんご自身が「15年目ぐらいまでは仲はようなかったね」と公言されていますから間違いありません。

ラジオの生放送中の“事件”

 私がそのことを実感したのは、コンビ結成12年目のころ、午前7時15分から10時までのラジオの生放送中での“事件”です。  放送開始から1時間もたたない時点で口論が始まり、その後、放送が終了するまでお互いに一言も言葉を交えることなく、巨人さんとアシスタント、阪神さんとアシスタントがしゃべって残り時間を乗り切ったことがあったのです。  原因は釣り客がゴミをそのまま放置していくために迷惑しているとニュースが話題になった時に、釣りが趣味の阪神さんに巨人さんがこんなことを口にしたことがきっかけでした。 「こういう迷惑なことをする人がおるからきちんとしてる人が迷惑するんですよ。阪神君も(迷惑な連中と同じように見られるかもしれんから)釣りやめたらええのに」  もちろん巨人さんは“軽く”言われたので、阪神さんも「私はちゃんとしてるから続けさして~な!」ぐらいに返されるのかと思っていたら「おたく(巨人さん)にそんなこと言われる筋合いはありません」と真顔で反論。  その言葉に「おたくて…何年コンビ組んでんねんな…」というやりとりから一気に険悪な空気になり目も合わさず、言葉を交わすこともなくなり……。  スタジオの中にいた私のイヤホンにディレクターから「本多はん、なんとかして」という焦った声が届きましたが、私にどうにかできるわけもなく、突然の出来事・展開に心臓が飛び出しそうなぐらいドキドキしながらアシスタントと“どうしよう?”と目くばせをしながら、進行表どおりに粛々と番組は進みました。
次のページ
現場は凍りついたが……
1
2
3
おすすめ記事