六本木クラブ襲撃:国際手配中のリーダーの供述不可欠

毎日新聞 2013年12月09日 13時41分

 東京・六本木のクラブで昨年9月、男性客が襲われ死亡した事件で、傷害致死などの罪に問われた暴走族グループ「関東連合」元リーダーの石元太一被告(31)=詐欺罪で有罪判決=の初公判が9日、東京地裁(鬼沢友直裁判長)で開かれた。石元被告は「凶器の存在を知らず、人を集めたことも指示を出したことも一切ありません」と起訴内容を否認した。事件を巡っては、主導したとみられる暴走族「関東連合」OBグループのリーダー、見立(みたて)真一容疑者(34)=殺人容疑などで国際手配=の動向が焦点になっている。OBの一人は「グループで絶対的な存在だった見立容疑者の供述なしに事件の全容解明はあり得ない」と話す。

 関係者によると、OBグループは1978〜83年生まれを中心とした約20人で構成。事件に関与したとして起訴された大半は正式なメンバーではなく、地元の後輩や仲間という。見立容疑者は昨年11月にフィリピンに入国したことが確認されており、海外逃亡中とみられる。

 OBらの証言では、事件のきっかけは2008年3月16日未明にさかのぼる。東京都内であった見立容疑者の誕生パーティーの帰りに、参加者の男性が西新宿の路上で襲撃されて死亡。対立グループの仕業とみた見立容疑者らはリーダー格の兄弟への報復の機会をうかがっていたとされる。六本木事件は被害男性をこの弟と誤った末の出来事だったという。

 関東連合OBグループなどは「半グレ」と呼ばれ、暴力団の活動に協力したり、繁華街のトラブルに関与したりするケースも少なくない。六本木事件などを契機に、警察庁はこうした集団を「準暴力団」と位置づけ、実態解明や取り締まりの強化に乗り出した。【前谷宏】

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