ヘビはどうしてとぐろを巻くの? 生きているものしか食べないのはなぜ?

質問者まなとくん

放送日2020年8月4日(火)

ざっくり言うと
たきざわまなとくん(小学2年生・東京都)からの質問に「動物」の小菅正夫先生が答えます
とぐろを巻くとヘビはからだ全部が見えて安心。落ち着いた状態だよ
死んだものを食べ物とは思っていない

テーマ

動物 小菅正夫先生

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2020年8月4日(火)放送より

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放送日時:2020年8月4日(火)午前11時15分ごろ~午前11時26分ごろ

山本アナ:山本志保アナウンサー
小菅先生:小菅正夫先生(札幌市円山動物園参与)
小林先生:小林快次先生(北海道大学総合博物館教授)
まなとくん:質問者


山本アナ: お名前教えてください。
まなとくん: まなとです。
山本アナ: どんなこと、聞きたいでしょう?
まなとくん: ヘビはどうしてとぐろを巻くのですか? あと、ヘビはどうして生きているものしか食べないのか……。
山本アナ: まなとくんのおうちには、ヘビがいるの?
まなとくん: 前に庭でシマヘビを捕まえた。
山本アナ: へぇ。名前、つけてますか?
まなとくん: ……。
山本アナ: 名前はないかな、ふふふ。
まなとくん: えっと……。
山本アナ: どうぞどうぞ。
まなとくん: イグロ。
山本アナ: ん? イズロちゃん? かな? 名前があるのは分かりました! きっと身近にヘビがいることで、「なぜ? なに?」と思うことがあったんですね。小菅先生、お願いします。
小菅先生: まなとくん、こんにちは。
まなとくん: こんにちは。
小菅先生: ヘビ、捕まえたの?
まなとくん: うん。
小菅先生: お父さんか? 捕まえたの。
まなとくん: おともだちと捕まえた。
小菅先生: おっ、やったー! シマヘビかい?
まなとくん: うん。
小菅先生: やったなあ。おじさんも子どものとき、ヘビ飼いたくてよく捕まえたんだけど、たった1回かまれたのがシマヘビだった。不用意に手を出したからなんだけどね。
まなとくん: ふぅ~ん。
小菅先生: アオダイショウには、不用意に手を出してもかまれなかったんだけど、まなとくん、よく捕まえたねぇ。
まなとくん: うん。きれいにペットボトルに入ったから。
小菅先生: そうか! よかったねぇ。今、飼ってるの?
まなとくん: 逃げちゃった……。
小菅先生: そうか。逃げちゃったけど、前は飼ってたんでしょ? エサはやってみたの?
まなとくん: うん。ソーセージとか生肉をあげても、食べなかった。
小菅先生: そうだよなぁ。それ、食べてくれたらラクなんだけど、食べてくんないんだよねぇ。
まなとくん: うん……。
小菅先生: まなとくんの質問だけど、そのヘビはとぐろをよく巻いてたの?
まなとくん: うん。ソーセージを真ん中にして、とぐろを巻いてた。
小菅先生: まなとくんがシマヘビを捕まえたときは、とぐろを巻いてたかい?
まなとくん: 最初は巻いてなかったけど何分かたったら巻いてた。
小菅先生: それは飼い始めてからでしょ? 捕まえたときはどうだった?
まなとくん: 捕まえたときは、あんまり巻いてなかった。
小菅先生: そうでしょ。あのね、なぜヘビがとぐろを巻くかっていうと、とぐろを巻いているときが一番安全なのよ。
まなとくん: へぇ~。
小菅先生: だってさ、ヘビって長いでしょ? 頭から尻尾まで距離があるじゃん。でもとぐろを巻いてたら、まわり全部、尻尾まで全部見えるじゃない。
まなとくん: あぁ……。
小菅先生: とぐろを巻いているときに例えば敵が近づいてきたら、すぐに逃げ出したり反撃したりできるよね。だからヘビは、安心して落ち着くときはとぐろを巻くの。とぐろを巻いているときは、安心して落ち着いているんだよ。
まなとくん: へぇ~。
小菅先生: 体を伸ばして、エサを取りに行ったりするんだから。シマヘビだったら小さいネズミを食べるんだけど、体をちょっと持ち上げて、ぴゅっと伸ばした瞬間にかみつくんだ。だからエサを食べてるときは、とぐろを巻かないよね。
まなとくん: そうなんだ……。
小菅先生: それから、なぜ生きたものしか食べないかという問題だけど、たぶんヘビは、動いているものに興味があってかみつく、という生きものなんだ。もしくは、体温のあるもの、温かいものに反応して、見つけたときにすぐ襲わなくちゃいけないので、そういうふうに進化してきた生きものなんだよね。だから、死んだものは食べ物だと思っていない。いくら僕たちが「これおいしいよ」って言っても、ヘビにとっては食べ物とは思えないので、食べてくれないんだよね。
まなとくん: へぇ~。
小菅先生: おじさんたちがヘビを飼うときはね、必ずヘビの食べ物を育てなきゃならない。例えば動物園だったら、ネズミをたくさん飼って……
まなとくん: ネズミ食べるの!?
小菅先生: ヘビは主食、ネズミだよ。
まなとくん: ……、へー。
小菅先生: いろいろなサイズを用意しなくちゃいけないので、ヘビを飼うのは結構たいへんなんだ。ヘビばかりじゃなくて、肉食動物っているじゃない? その多くの動物が、生きてるものしか食べないんだよ。
まなとくん: そうなんだ……。
小菅先生: そうなの。死んだものを食べる動物はわりと少なくて、有名なのは、ハゲワシ。ライオンやハイエナが襲って倒したシマウマとかに集まってきて食べるんだけど、こういう動物のほうが少ないんだよ。ほとんどが、生きた新鮮なものを食べてるってことなんだな。よくハイエナが、ライオンが残したものを食べてるでしょ。でもハイエナは自分で狩りをして食べていて、そういうのがあったときに、たまに食べてるだけなんだよ。
恐竜にも肉を食べるのがいるけど、そういうのは死んだ獲物を食べるかどうか、小林先生に聞いてみようか。
まなとくん: うん。
小菅先生: 小林先生、どうでしょう?
小林先生: まなとくん、こんにちは。
まなとくん: こんにちはー。
小林先生: ティラノサウルスって、知ってる?
まなとくん: 知ってるー。
小林先生: ティラノサウルスは昔、死んだ動物を食べていたと言われていたんだけど、今はやっぱり、小菅先生がおっしゃったように、たぶん生きているものを襲って食べていたと考えられています。本当に死んだものを好んで食べていた恐竜というのは、今のところ、いないですね。やっぱり生きていたものを襲って食べていたと言われています。
ちょっと今の話と違うんだけど、実はインドで、ヘビが恐竜の卵を「食べるぞ」っていう瞬間の化石が見つかっています。小菅先生、こんなことで、いいでしょうか。
小菅先生: ありがとうございます。
山本アナ: 小菅先生、野生のヘビさんは生きているものが好きなのは分かったんですが、ペットのヘビのエサは、そうでないものでなんとかならないかな、というのはどうでしょうか。
小菅先生: 私の経験では無理ですね。
山本アナ: 無理ですか……。
小菅先生: だからどうするかと言うと、これは私の経験ですけどね、ヘビをそっと捕まえて口をあけて、生卵をつけてすべりをよくした肉をピンセットで口の中に入れてやると、のどを過ぎると自分でのみ込むから、そうするとヘビも「こうやってエサをくれるんだ」って分かってきて、抵抗しなくなる。でも基本は、飼うのであれば生きたものを用意するのが原則でしょうね。
山本アナ: ヘビを捕まえるときには、マムシとか怖いヘビもいますから、気を付けないといけないですね。
小菅先生: 必ず見て、このヘビはなんというヘビか分かったうえで、捕まえなくちゃダメ! 日本にはマムシとか、いるからね。
山本アナ: 全国のみんな、危険なヘビには気を付けましょう!
小菅先生: もちろん!!
山本アナ: まなとくん、ヘビの質問、ありがとね。
まなとくん: ありがとうございます。
山本アナ: こちらこそ。先生方もありがとうございました。さよなら~。

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2020年8月4日(火)放送より

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