皮膚科医療におけるステロイド使用の実態とステロイド骨粗鬆症に対する予防的治療の実態を明らかにすることを目的とし,静岡,和歌山,長崎の3県下における開業医および
勤務医
399名を対象にアンケート調査を実施した。その結果,開業医135名,
勤務医
81名,勤務形態無回答2名,合計218名(54.6%)から回答が得られた。回答内容に対する集計の結果,開業医において95.6%,
勤務医
において92.6%の医師が内服ステロイド投与を実施しており,医師1人あたりの月平均投与患者数は,開業医では48.3人,
勤務医
では14.9人と,とくに開業医において投与患者数が多い実態が明らかになった。しかし,ステロイド骨粗鬆症に対する定期的なチェックを実施する医師は開業医では5.2%,
勤務医
では29.6%と少なく,また,ステロイド骨粗鬆症に対する予防的治療を実施する医師も開業医では38.5%,
勤務医
では50.6%に過ぎなかった。予防的治療を実施する目安についても,ステロイド投与期間,1回投与量,総投与量のいずれを基準とするか,また基準内容についてもばらつきが認められた。これらの現状を鑑みると,今後,ステロイド骨粗鬆症の予防的治療に関して,わが国独自のエビデンスの集積とガイドラインの確立を早急に行う必要があると考えられた。
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