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パートI 国昇格について

1.パートI 国昇格とその意義

平成19年から日本は世界で16番目のパートI 国として正式に承認されることが決定しました。

パートI 国昇格によって、日本の競馬は、英、仏、米等、現パートI 国の競走と同等の高い国際的価値を持つことになり、以下のようにさらなる発展の可能性を得ることになりました。

(1)日本産馬が国内で活躍することによって、その馬とその血統は広く国際的な評価を得ることができるようになります(日本産馬の国際的評価向上)。

(2)日本の国際交流競走に参戦する外国調教馬にとっても賞金のみならずステータスの面でも国際的評価が得られることから、より優良な外国調教馬の出走が促進されますので、日本の競馬の質をより一層高めることができます(日本の競馬の一層のレベルアップ)。

(3)日本の競馬は世界に通用する第一級のスポーツ・エンターテイメントとしての評価が確固たるものとなり、良好なブランドイメージの確立を通じて国内的な競馬の振興を図れます(ブランドイメージの向上)。

(4)これらのことにより、日本産馬の国際競争力が高まり、近隣アジア諸国を中心に日本産馬輸入の機運を高め、輸出を促進することができます(日本産馬の輸出促進)。



2.パートI 国とは

 サラブレッドの生産、競走、および市場の国際化がますます進展する状況を踏まえて、1981年(昭和56年)、国際的なセリ会社、生産者協会、競馬主催者団体らにより、「全世界的にセリ名簿の記載基準の統一性を確立すること」を目的として「国際セリ名簿基準委員会」(International Cataloguing Standards Committee.以下「ICSC」)が組織されました。

世界の平地競馬開催国は、このICSCによりパートIからパートIII(障害競走はパートW)まで3つにグループ分けされており、これは競走および競走馬の国際的評価の指針として活用されています。その中でも最上位のパートI 国となるためには、競走におけるすべての面で制限がないこと、競走数、出走頭数、賞金レベル、さらには当該国で行われる主要競走の数や質などにおいて所定の基準をクリアする必要があります。従って、パートI 国であることは、世界第一級の評価に値する競馬を行っていることを意味します。

 

3.競走格付けの歴史

各国ごとにそれぞれ行われている主要競走を、一定の基準に基づき共通の格付けを行うという考え方は、国をまたいでの出走が一般的であったヨーロッパで生まれました。その目的は、例えば「GI競走」と銘打ちながらも、国よって、あるいはレースによって、賞金額や出走馬のレベルに差異があること、ひいては当該競走に優勝した各馬の評価にばらつきがあることを是正しようとするものでした。

1970年、フランス、英国およびアイルランドの競馬統轄機関は、当該各国の主要競走(パターン競走)を統一の基準に基づきグループ分け(ランク付け)するシステムの導入を決定し、翌1971年から、これらを一覧表記した「欧州パターンブック」が出版されています(イタリアは1971年に、ドイツは1972年に加入)。

この欧州パターン競走は、競馬と生産を行なう国における世界的なグレード指標となり、1979年に欧州パターン委員会は定期的に見直される「基本原則」を設定して「パターン競走の方針」を定義しました。

一方北米においては、レースの統一格付けは1973年にTOBA(Thoroughbred Owners and Breeders Association)のプロジェクトとして始まり、米国各州・カナダ共通の格付けを行うこととなりました。

その後ますます国際化が進む中、前述のとおり、1981年にICSCが組織され、ヨーロッパ、北米を合わせた統一的な基準に基づき、国および競走の格付けが行われることになりました。

具体的には、パートI 国の競走及びパートIに格付けされている競走の優勝馬は、世界中のセリ名簿に記載される際、「ブラックタイプ(太ゴチック文字)での表記が行われるというものです。

ICSC発足当初は、フランス、英国、アイルランド、イタリア、ドイツ、アメリカ、およびカナダの7カ国がパートI 国として構成されていましたが、1985年にICSCは、ある国がパートII国からパートI 国に昇格する条件を公示し、昇格を求める国からの申請を招請しました。様々な申請を慎重に検討した結果、ICSCはアルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、チリ、ニュージーランド、ペルー、南アフリカおよびウルグアイを新たにパートI 国に迎えました。

その際のパートI 国への昇格要件は以下のとおりです。

(1)当該国の競馬が出走頭数、競走数および賞金の面で世界の競馬主要国の中にあってパートIに位置付けられるに十分相応しい水準にあること

(2)当該国におけるグループ/グレード競走またはブラックタイプの格付けを付与される競走の数および割合が、既にパートIである国の競走の割合と均衡が取れていることを前提に、当該国の競馬の基幹をなすものとして適当であること

(3)当該国のグループ/グレード競走およびリステッド競走が現実に当該国において行なわれる最上級の競走であること

その後、1992年版の出版にあたり、すべての国について再精査を行なった結果、いくつかの国においてグループ/グレード競走およびリステッド競走の数が減じられ、またウルグアイがパートIIに降格となりました。

なお、1995年からは、OSAF(Organizacion Sudamericana de Fomento del Pura Sangre de Carrera,南米サラブレッド競馬振興機構)、1996年からは、ARF(Asian Racing Federation,アジア競馬連盟)の各代表1名がICSCに加わっています。

最近の昇格としては2003年にアラブ首長国連邦がパートI 国に昇格しています。

2003年にはICSCの権限を移行するため新たにIRPAC(International Grading and Race Planning Advisory Committee,国際格付け番組企画諮問委員会)が設立されました。これは世界主要委員会などの代表16名で構成されており、日本もARF代表として1名の代表がメンバーとして参加しています。IRPACの主な役割は競走の国際格付基準の管理と現存する重賞競走の質的管理の履行、国際セリ名簿基準委員会(ICSC)に対し各地区の格付の昇格・降格について進言等です。



4.日本がパートI 国入りするまでの道程

日本の競馬の「国際化」は、昭和56年に国際招待競走「ジャパンカップ競走(GI)」を創設したことから始まりました。これは、『我が国の強い馬づくり』の一環として、外国の一流調教馬を中央競馬の競走に出走させることにより、国際交流の促進、内国産馬の資質向上および我が国の軽種馬生産の基盤強化を図るために行ったものです。

その後累年にわたるジャパンカップ競走の施行を通じて、さらなる内国産馬の資質向上、日本の競馬の将来の発展、競馬のスポーツとしての意義高揚のためには、国際交流のより一層の推進が不可欠であるとの認識が高まってきました。

これを受け、平成4年に『外国産馬出走制限緩和(5ヵ年計画)』を策定し、ジャパンカップ競走以外の競走を国際交流競走として順次外国調教馬に開放していくこととし、その後も同様のプランを段階的に策定・実行し、着実に国際交流を推進してきました。

もともと出走頭数・賞金レベル等は世界でもトップクラスであり、また近年日本産馬の資質が向上し世界のGI競走での活躍等により、ワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングにおける日本馬の評価のとおり、国際的にも日本の競馬は実質的にパートI 国に相応しい評価を受けるようになってきましたが、それでも日本はまだ制限的な競馬を行なっていることを主たる理由にパートII国に置かれていました。

こうした中、平成14年、ICSCは、日本のパートII国からパートI 国への昇格に関して委員会でJRAからの昇格提案を議題とし、以下の条件で日本のパートI 国昇格を検討することに合意するに至りました。

 

(1)外国の競走馬に対して適当な競走を提案し、日本の競走に参加を促すため、ICSブックに記載されている日本のブラックタイプ競走の再吟味。

(2)グループ/グレード競走その他ブラックタイプ競走にレーティングを尊重するための競走水準の質的維持。

(3)外国調教馬に対してICSブックに記載されるレースの50%以上の開放。それらの競走は3歳以上のものでもかまわない。

これを受けて、名実ともに世界の中における日本の競馬の位置づけを高め日本の競馬のより一層の発展を図るため、国内関係者の理解と協力を得て、パートI 国昇格を目的として国際交流競走を大幅に増加させることとしました(『平成17年以降の競馬番組上の外国産馬の取扱いについて』の策定。平成16年11月発表)。

具体的には、平成16年時点で22競走(平地)であった(国際)競走を段階的に増やし、平成17年に58競走、18年に85競走、19年に111競走とし、ICSブック(平成17年)に記載されている競走数217の50%を超える競走を(国際)競走として外国調教馬に開放することとしました。

以上に基づき、計画どおり平成19年にICSブック記載競走の過半数(111競走)を国際交流競走とし、パートI 国昇格の基準を満たしましたので、ARFを通じて日本のパートI 国昇格を申請し、同年9月末にパリで開催されたIRPACで本案件が審議されました。その後セリ名簿の基準であるICSブックに関する最終承認機関のSITA(Society of International Thoroughbred Auctioneers,国際サラブレッド競売人協会)での議論を経て、外国調教馬に開放している重賞競走のうちグレード格付け水準を満たしていると判断された60競走(暫定)がパートIグレードと認定され、それ以外の重賞競走についてはICSブックにおいて単にブラックタイプ競走と記載し、日本をパートI 国とすることが承認され、平成19年から日本の競馬は正式にパートI 国となったものです。


〔参考〕

(1)日本の競馬の現状

重賞競走のレーティングにおいて日本の競馬はパートI 国に相応しい競走の質を保持。また、日本の競馬は欧米競馬先進国に比較しても、全ての面で全く遜色のない実績ある競馬を施行。例えば、地方競馬を含めて交付賞金額は世界第2位、出走実頭数と競走数では第3位、さらにワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングにおいてレーティング115以上(いわゆるGI級)の馬の頭数と生産頭数で第4位。

 

(2)せり名簿記載

パートI 国昇格により、平成19年からICSCが発行するICSブックに記載される日本国内の主要な競走(中央競馬の重賞競走およびオープン特別181競走および地方競馬のダートグレード競走37競走)が国際的にトップクラスと認定された競走として世界中のセリ名簿に記載されます。ICSが定めるセリ名簿における記載形式は、パートI 国のICSブックに記載される競走の優勝馬は “太ゴチック文字”で、2、3着馬は“ゴチック文字”となります。

 

(3)パートI〜III分類(2007年版)

『パートI 国(16カ国)』:
アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、英国、アイルランド、イタリア、日本、ニュージーランド、ペルー、南アフリカ、UAE、USA

『パートII国(9カ国)』:
香港、インド、マカオ、パナマ、プエルトリコ、スカンジナビア、シンガポール/マレーシア、ウルグアイ、ベネズエラ

『パートIII国(16カ国)』:
オーストリア、コロンビア、チェコ、ドミニカ、エクアドル、ジャマイカ、韓国、モーリシャス、メキシコ、オランダ、ポーランド、サウジアラビア、スロバキア、スイス、トリニダードトバゴ、トルコ
 
(4)平成18年まで、本会は(国際)競走の重賞競走のうち、競走格付けのパートIレーティング基準を満たしていている競走については順次申請し、13競走(※)が競走単位で国際格付けがなされていました。

国際格付けを得られる条件は、当該競走が諸外国に開放されていることに加え、GI競走で115、GII競走で110、GIII競走で105のそれぞれレースレーティングが必要となります。なお当該レースレーティングは、3年間の数値の評価となります。

※平成18年度に国際格付けを得ている13競走(認定年度)
ジャパンカップ(GI) (平成4年)
宝塚記念(GI) (平成13年)
毎日王冠(GII)
京王杯スプリングカップ(GII) 
阪神大賞典(GII)  (平成14年)
富士ステークス(GIII)
武蔵野ステークス(GIII) 
京都大賞典(GII)  (平成15年)
安田記念(GI)  (平成16年)
マイルチャンピオンシップ(GI)
産経大阪杯(GII)
読売マイラーズカップ(GII)
スプリンターズステークス(GI) (平成17年)


国際(パート1)格付けを取得できる重賞競走【暫定】

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  2.パートI 国とは
  3.競走格付けの歴史
  4.日本がパートI 国入りするまでの道程

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