内閣府は2014年の国民1人当たり名目国内総生産(GDP)が3万6200ドルになったと発表した。
これは、前年比6%の減少で、経済協力開発機構(OECD)の34カ国中20位となり、さかのぼることができる1970年までの45年間で過去最低の順位だった。
まず、ドル建ての1人当たり名目GDPについて、日本の1970年以降の順位を確認しておこう。高度成長期に順位を上げ、バブル期あたりには世界最高ランクだった。
90年代は過去の遺産でかろうじて高順位を維持していたが、2000年代に入ると、順位を下げるようになった。その理由は、バブル期以降、円建ての名目GDPがほぼ横ばいとなってきたからだ。これは世界の先進国の中でも極めて珍しいことだが、日本だけ経済成長しないため、順位を下げたのだ。
その中で、少し円安になると名目成長してもドル建てでは伸びない。一方、円高になると成長しないため、ドル建ての伸びも抑えられる。このため、日本の順位は低迷したままになる。
民主党政権時代と安倍晋三政権を比べて、ドル建ての1人当たりGDPで民主党時代の方が良かったというのは、まったく意味がない。なにしろ、日本人は円で生活しており、1人当たりの円建て名目GDPは安倍政権の方が高い。安倍政権の方が民主党時代より経済パフォーマンスがいいのは、失業率などの雇用指標をみても明らかだ。