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岸田氏「二階外し」前面に 党内不満の吸収狙う―自民総裁選

2021年08月29日07時10分

自民党広島県連の会合に臨む岸田文雄前政調会長=28日、広島市中区

自民党広島県連の会合に臨む岸田文雄前政調会長=28日、広島市中区

 9月29日投開票の自民党総裁選への出馬を表明した前政調会長(64)は、首相(72)との政策や政治スタイルの違いに加え、首相を支える幹事長の続投を認めない姿勢を前面に出す構えだ。在職5年を超えた二階氏に対しては党内に不満が渦巻いており、劣勢と目される議員票で切り崩しを期待できるからだ。
 岸田氏は28日、地元・広島市で党広島県連の会合に出席し、出馬の決断を報告。関係者によると、出席者から二階氏批判の声が上がった際、「二階幹事長のありように国民が関心を寄せている。風通しの良い政党にする」と述べ、党役員任期を最長3年とする公約について説明した。
 岸田氏は二階氏と27日に面会した際の様子にも触れ、「どんな反応をされるかと思ったが、上機嫌だった。したたかな政治家だと思った」と振り返っていたという。県連は岸田氏の全面支援を決めた。
 岸田氏が26日の出馬記者会見で強調したのは、「助け合う社会」など首相との対立軸に加え、党役員任期の限定を柱とする「ガバナンス改革」だった。岸田氏は「誰かを狙ったものではない」としているが、党内では「二階外しが主眼」(細田派中堅)との見方が大勢だ。
 岸田氏の訴えの背景には、党内に「二階氏の党運営は我田引水」(竹下派中堅)との不満が充満していることがある。実際、二階派メンバーが人事で優遇されるケースが目立ち、党資金の使い方も不透明との疑念がくすぶる。二階氏を頼りにしてきた首相には打ち出せない強力なアピールポイントと言える。
 二階氏のほか前首相、副総理兼財務相が首相再選支持の立場を取る中、岸田氏はこれまでのところ議員票で劣勢とみられている。ただ、安倍、麻生両氏はかねて二階氏と緊張関係にあり、「二階外し」は首相の支持基盤にくさびを打ち込む形にもなる。
 県連の会合後、岸田氏は近く安倍氏を訪ねると明かし、「ぜひ私の思いや政策を理解いただけるよう努力したい」と表明。同時に「何と言っても国民、党員に向いて選挙を進めなければいけない。それがひいては議員や実力者に影響してくる」と語った。

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