(1)業績
当事業年度は、日本経済が、景気の踊り場から脱して回復基調を強めたことにより、個人消費と民間企業の設備投資が堅調に推移し、明るさを取り戻し、当社の広告環境としては、前半は好調に推移したものの、後半は、前年の高い伸びの反動が現れ、総広告費は、2年連続して増加したものの、伸び率は前年より低下し、総広告費のうち、テレビ広告費は、前年比99.9%と3年ぶりに前年実績を下回りました。
こうした中、当社は、新規広告主の開拓や新規企画の開発を精力的に進めるとともに、スポットセールスを積極的に
展開し、民間営業売上の拡大による営業収益の向上に努めました。
展開し、民間営業売上の拡大による営業収益の向上に努めました。
編成・報道面では、東京の地域情報のキー局として、国際都市東京を背景に、新しい時代に即した報道とエンターテイメントを充実させ、視聴者のニーズにきめ細かく応えました。
ニュース報道番組では、7月3日の東京議会議員選挙を、当日の午後8時から4時間にわたって開票速報を生放送し、9月の衆議院選挙も、午後9時から翌日午前0時30分まで、特別番組を放送しました。
スポーツ番組では、7月30日には、サッカースペインリーグの名門「FCバルセロナ」と「横浜Fマリノス」の国際親善試合を地上波独占生中継し、また、夏の高校野球東京都大会は、神宮球場で行われた開会式と第一試合をはじめ、準々決勝以降の試合から、東西の決勝、閉会式まで、連日生中継しました。
年末年始番組では、大晦日に「談志・陳平の言いたい放だい」の大晦日スペシャルを2部構成で編成し、第1部は、辛口トークで平成17年を振り返り、第2部は、談志師匠が落語「芝浜」を1時間枠でじっくり聴かせる独演会で話題を呼びました。
石原都知事がホストを務める「東京の窓から」は、多彩なゲストと話題で、幅広い年齢層の視聴者から支持を得、東
京都議会関係の番組も、「トウキョウもっと!元気研究所」など新しい機軸で、都民生活に直結した都政の話題を都議
会議員と一緒に考える番組を放送しました。
京都議会関係の番組も、「トウキョウもっと!元気研究所」など新しい機軸で、都民生活に直結した都政の話題を都議
会議員と一緒に考える番組を放送しました。
事業活動としては、「国立ボリショイサーカス東京公演」の主催をはじめ、韓流(はんりゅう)スターのファンミー
ティングを2回開催し、定例イベントとして定着しました。
ティングを2回開催し、定例イベントとして定着しました。
開局10周年を記念する取組みとしては、映画「ガラスのうさぎ」の製作参加や、昭和記念公園での「東京10Kクリス
マスマラソン2005」などの記念事業を行い、番組では、10年前の東京との比較を見せる「東京白書」や、大都市の生活
を多角的に比較する「この街に暮らす 東京・ニューヨーク・上海」などを放送しました。
マスマラソン2005」などの記念事業を行い、番組では、10年前の東京との比較を見せる「東京白書」や、大都市の生活
を多角的に比較する「この街に暮らす 東京・ニューヨーク・上海」などを放送しました。
世界のグローバル化が年々進んでいる中で近隣の中国やアメリカ等の各都市の放送局と連携し、生活に根ざした都市ジャーナリズムの視点に立った報道・情報番組を充実する取組みを進めています。平成15年9月の上海電視台・生活時尚チャンネルとの業務協定、平成16年5月のニューヨークの24時間ニュース局「NY1」と姉妹局提携に引続き、平成17年11月には、ソウル市交通放送本部が運営する「テレビソウル」と番組交換の協定を調印しました。「NY1」には、7月に東京MXテレビから記者を派遣し、「NY1」のスタジオから、オリンピック開催地決定の瞬間を抑えたニューヨークの光景や、ロンドンの爆弾テロを受けての9・11経験者のニューヨーク市民の表情などを、ニュースやワイド番組の中でリアルタイムに伝えました。
本格的な地上デジタル放送を開始する平成18年7月は、当社にとって、いわば「第2の開局」であり、これを機に、コンテンツの充実によるブランドイメージの向上とビジネス環境の改善を図るべく、本社屋を千代田区麹町の「メディアセンター」に移転することが第71回取締役会で承認され、平成17年10月には、営業部門と総務部門が第1陣として移転しました。
地上波テレビ放送については、「デジタル設備投資計画」に基づき、円滑な本格実施に向けて、計画的な設備整備を
進める中、12月1日には、出力を当初の3Wからフルパワーの3kWに増力し、放送エリアも都内のほぼ全域、約680
万世帯をカバーすることとなりました。また、放送と通信の融合が急速に進む中、携帯端末や自動車等移動体向けのワ
ンセグ放送の実用化に対応して、総務省の地上デジタル放送公共アプリケーションパイロット事業として、ワンセグ放
送を活かした教育コンテンツのあり方を検討するワンセグ携帯の実証実験を行いました。また、電子政府・電子自治体
でのデジタル放送の高度な利活用が期待されることから、防災情報や地域ごとの行政情報の提供策について、東京都は
じめ関係機関に提案しています。
進める中、12月1日には、出力を当初の3Wからフルパワーの3kWに増力し、放送エリアも都内のほぼ全域、約680
万世帯をカバーすることとなりました。また、放送と通信の融合が急速に進む中、携帯端末や自動車等移動体向けのワ
ンセグ放送の実用化に対応して、総務省の地上デジタル放送公共アプリケーションパイロット事業として、ワンセグ放
送を活かした教育コンテンツのあり方を検討するワンセグ携帯の実証実験を行いました。また、電子政府・電子自治体
でのデジタル放送の高度な利活用が期待されることから、防災情報や地域ごとの行政情報の提供策について、東京都は
じめ関係機関に提案しています。
この結果、当事業年度の営業収益は6,773百万円と、前事業年度に比べ150百万円(2.2%)の減収となり、営業利益は68百万円(前事業年度比10百万円の減少)、経常利益は47百万円(同36百万円の減少)と、4期連続して黒字を達成しましたが、固定資産の減損に係る会計基準の適用に伴い減損損失333百万円を計上したほか、社屋の一部移転に伴う原状回復工事等が発生し、特別損失を合計で604百万円計上したことから、当期純損失は561百万円(前事業年度は63百万円の利益)となりました。
各事業別の業績は、次のとおりであります。
①放送事業
官公庁等からの出稿が大幅に減少する中で、コンテンツの開発、新規スポンサー及び代理店の獲得による民間営業売上の拡大に努めましたが、テレビ収入は5,286百万円と、前事業年度と比べ54百万円の減少となりました。
一方、放送費は、制作コストの見直しや固定経費削減を推進したことにあわせ、減価償却費の負担が減少したことにより、前事業年度と比べ81百万円減の3,812百万円となりました。
②その他関連事業
その他関連事業収入は、大口取引先からの出稿が減少したことにより、広告代理店収入が1,281百万円と、前事業年度と比べ182百万円減少しました。一方、イベント収入は204百万円と、前事業年度と比べ85百万円の増加となりました。これらの結果、その他収入は1,487百万円と、前事業年度と比べ96百万円の減少となりました。
また、これに対する事業費の支出は、広告代理店収入の減少に伴い、1,239百万円となり、前事業年度と比べ87百万円の減少となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における当社の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純損失が556百万円であったものの、デジタル化投資のための社債発行、長期借入金の借入による収入等により、前事業年度に比べ1,748百万円増加し、当事業年度末には2,607百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は387百万円(前事業年度196百万円)となりました。これは主として、税引前当期純損失556百万円を計上したものの、資金の流出を伴わない減損損失333百万円の計上や貸倒引当金の増加151百万円、売上債権の減少174百万円により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は900百万円(前事業年度155百万円)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出920百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得た資金は2,260百万円(前事業年度はありません)となりました。これは主として、長期借入金の借入による収入900百万円及び社債発行による収入1,460百万円によるものであります。
販売実績
当事業年度における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門別
|
金額(百万円)
|
前年同期比(%)
|
放送事業
|
5,286
|
△1.0
|
その他関連事業
|
1,487
|
△6.1
|
合計
|
6,773
|
△2.2
|
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
|
前事業年度
|
当事業年度
|
||
金額(百万円)
|
割合(%)
|
金額(百万円)
|
割合(%)
|
|
㈱博報堂DYメディアパートナーズ
|
1,188
|
17.2
|
1,265
|
18.7
|
㈱ディーエイチシー
|
1,350
|
19.5
|
1,165
|
17.2
|
東京都
|
1,264
|
18.3
|
1,062
|
15.7
|
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社は、放送事業を主たる事業としているため、生産および受注の状況は記載しておりません。
平成17年11月に開局10周年を迎えた今、平成14年度以降4期連続して経常損益の黒字を達成し、確実に黒字基調を維持できるようになりました。
平成17年度は、当社の将来にとって重要な経営戦略として、①本格デジタル放送の開始にあわせた本社屋の千代田区麹町のメディアセンターへの移転、②平成18年7月1日の本格デジタル放送開始に向けたマスター設備をはじめとする諸設備の計画的な整備を進めました。
平成17年度は、当社の将来にとって重要な経営戦略として、①本格デジタル放送の開始にあわせた本社屋の千代田区麹町のメディアセンターへの移転、②平成18年7月1日の本格デジタル放送開始に向けたマスター設備をはじめとする諸設備の計画的な整備を進めました。
今後は、平成16年11月に策定した経営3ヵ年計画を、今日的状況に対応して見直したうえで、以下の課題に重点的に取組みます。
1 本格デジタル放送の開始にあわせたCI戦略の積極的展開
2 コンテンツの充実強化
(1) 魅力的な自主コンテンツの開発と定着
(2) 国際都市東京にフォーカスをあてた報道
(3) 都政の重要課題に対するタイムリーな報道とフォロー
(4) データ放送、ワンセグ放送の特性を活かしたコンテンツの開発
(5) ブロードバンド時代に対応したコンテンツのマルチユースとオールライツの確保
3 国際都市東京、首都圏東京にふさわしい番組の編成
4 開局10周年記念事業の実績を踏まえた各種イベントの充実
5 海外テレビ局(NY1、上海生活時尚チャンネル、テレビソウル)とのコンテンツ交換等提携の強化、及び近隣
U3局を中心としたU13局のネットワーク強化
6 コンプライアンス経営と内部統制システムの充実強化
有価証券報告書に記載した事業の状況等、経理の状況等の事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 特定の主要取引先等への高い依存度について
当事業年度の販売の状況における主要取引先への依存度は、㈱ディーエイチシーの広告代理店収入が17.2%、東京都の番組制作放送委託による収入が15.7%と、総売上高の計32.9%を占めております。また、主要取引先である官公庁の予算縮小に伴い、当事業年度末において、平成18年度も出稿が減少することが予想されております。これらの販売の減少が生じた場合、当社の業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 特有の法的規制について
制作会社への番組委託制作の発注にあたっては、独占禁止法、下請法の適用により、取引先との公正な取引が強く要請され、コンプライアンス経営が強く求められております。当社においては、各担当部署において法令遵守の重要性や、内部統制手続きについての教育を行っております。しかしながら、違反の効果的な防止が適わない可能性もあり、その場合、万一監督官庁から違法性を指摘されるような事態に至った時には、当社の社会的信用を傷つけ、場合によっては損害賠償の責めに任じなければならない可能性があります。
当事業年度は主要取引先の東京都、特別区競馬組合など官公庁系が番組の減少に伴って前事業年度より出稿額が379百万円減額となる厳しい状況となりました。これを民間の営業努力に傾注し、新規広告主の開拓、新規企画の開発などを含め、民間売上は229百万円前事業年度比増加となりました。この結果、経常利益は47百万円確保することができました。平成14年度以来継続して4期連続の経常黒字を達成し、経常黒字基調は定着しました。
①当期中における設備投資としては、932百万円を投下しております。このうち、メディアセンター関連に497百万円、フルデジタルマスターに420百万円を投下しております。
②当事業年度における資金調達は、デジタル設備投資に対応するために、第一回無担保社債1,500百万円(期間7年)を発行するとともに900百万円(期間10年、3年据置返済)の銀行からの長期借入を実行いたしました。なお、資金繰りは安定しております。
③テレコムセンターからの社屋移転を決定したことによる減損損失を333百万円計上しております。また、社屋移転損失115百万円を計上しております。
④㈱東京テレポートセンターが平成18年5月12日に民事再生法の適用を申請したことに伴い、同社に対するテレコムセンタービル敷金のうち、回収困難と見込まれる148百万円について貸倒引当金を計上しました。
⑤当事業年度は特別損失604百万円を計上したことにより当期未処理損失497百万円が発生いたしましたが、当事業年度末において、中長期経営計画では3〜4年で繰越損失の解消が見込まれます。なお、資金繰りは安定しております。
出典: 東京メトロポリタンテレビジョン株式会社、2006-03-31 期 有価証券報告書