PPAPより神ってる!「2016ユーキャン新語・流行語大賞」が1日、都内のホテルで発表され、25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した広島・鈴木誠也外野手(22)の神がかり的な活躍を表現した「神ってる」が年間大賞に選ばれた。鈴木は米ハワイへの優勝旅行出発を1日遅らせて、表彰式に出席。「ゲス不倫」などの有力候補を抑え、世の中に明るい話題を提供した今年の「顔」として、来季の一層の飛躍を誓った。
25年ぶりのリーグ優勝を果たしたチームがハワイV旅行に向けて飛び立とうとしていた時、立役者の一人である鈴木は都内のホテルにいた。今年の世相を表す「ユーキャン新語・流行語大賞」の表彰式。年間大賞に選ばれたことは直前まで「知らなかった」という。同じ受賞者でハワイへ出発した緒方監督に託され、一人取り残された形となったが「神ってる」22歳にご褒美が待っていた。
「僕自身が言った言葉ではないので、どう喜んでいいか分からないけど、うれしく思う。優勝していい年になって、一生忘れないと思います」
スーツ姿で壇上に立つと、さすがに緊張の様子。大役を終え「人前でスピーチするのもいい経験になった」と安どした。
入団4年目で打率・335、29本塁打、95打点と大ブレーク。初のベストナインにも輝くなど、まさに「年間大賞」にふさわしい一年だった。6月17、18日のオリックス戦(マツダ)では史上10人目となる2試合連続サヨナラ弾。この時の活躍を緒方監督が「神ってる」と表現した。その指揮官も「たまたまチームがいい状態の時に、鈴木誠也が2試合連続でさらに勢いに乗せた。自分はあれ以来“神ってる”と言ったつもりはないけど、マスコミが使い続けて、認識された」と驚きとともに受賞を喜んだ。
オフは表彰式ラッシュなど、多忙な日々を送っている鈴木だが、浮かれた様子は一切ない。1日遅れで、2日にハワイに出発。「遊ぶ時は遊びますよ」と笑ったが、すぐに真剣な表情に変わり「一番大事な時期なので時間を見つけてトレーニングはやります」。バットは持参しないが、砂浜でのダッシュなど下半身強化に励む考えで「ワイキキビーチを思い切り走ります」と話した。
プロ野球界から年間大賞が選ばれるのは、昨年の「トリプルスリー」に続き、2年連続。ただ、鈴木は「この言葉で僕のことを知ってくれた人も多いのでありがたい」と感謝しながらも「“神ってる”“神ってる”と言われるのは“まぐれ”と言われているようで、少し嫌だった」と本音も。来季は侍ジャパン入りが確実なWBC、そしてチームとしては今年つかめなかった日本一という大きな目標がある。「来季は“神ってる”ではなく実力だと思われるように頑張りたい」。最後に「神ってる卒業」を宣言し、さらなる飛躍を誓った。 (甘利 陽一)
▽「神ってる」 6月18日のオリックス戦(マツダ)で2試合連続サヨナラ弾を放った鈴木に対し、試合後に緒方監督が「いや~、今風の言葉で言うと“神ってる”よな」と称賛したのが始まり。翌19日の同カードでは8回に決勝ソロと、球団では20年ぶりの3戦連続決勝アーチを記録。球団は偉業を祝し、前面に鈴木の絶叫の表情、背面に「神ってる」とプリントした記念Tシャツを発売した。
▽ユーキャン新語・流行語大賞 84年スタート。毎年12月上旬に発表される。その年に発生した言葉の中で、軽妙に世相を突いた表現とニュアンスで、広く大衆の目・口・耳をにぎわしたものを選ぶ。読者審査員のアンケートを参考に「現代用語の基礎知識」(自由国民社)編集部がノミネート語を選出。姜尚中(カン・サンジュン)氏(東京大学名誉教授)、俵万智氏(歌人)ら選考委員会によってトップテン、年間大賞を決める(現行方式は94年から)。(スポニチ)