北京で開催されていた第9回イスラム教全国代表会議が15日、中国イスラム協会の会長に陳広元氏を選出して閉幕した。陳広元氏は2000年から、同会長を務めている。

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 北京で開催されていた第9回イスラム教全国代表会議が15日、中国イスラム協会の会長に陳広元氏を選出して閉幕した。陳広元氏は2000年から、同会長を務めている。中国新聞社が報じた。

 代表会議は13−15日に開かれた。出席者は354人。協会会規の修正案などが発表され、協会会徽が新たに定められた。

 代表会議には中国における他の宗教の指導者も招待され、カトリック組織である中国天主教主教団の団長で、中国天主教愛国会の副主席である馬英林が、他宗教の信徒を代表して、イスラム教全国代表会議開催に対して祝辞を述べた。

 中国イスラム協会の陳広元会長は、1923年に河北省で生まれた。民族は回族。中国イスラム教経学院院長や北京市東四清真寺(モスク)の責任者も務めている。

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◆解説◆ イスラム教は西暦610年に、メッカ(現・サウジアラビア)に住むムハンマド(マホメッド)が天使を通じて唯一神「アッラー」の啓示を受けたとして、広め始めた。

 現在の中国領には、唐代(618−907)から中央アジアの陸の道、いわゆるシルクロードを通って伝わり、宋代や元代からは、海洋航路の発展に伴い、福建省などでも信者が増えた。

 現在の中国政府は、イスラム教に対してかなり「気を使って」きたと言える。例えば極端な社会主義思想により宗教を否定した時代でも、イスラム教を信じる民族には、配給制だった食肉について、羊肉や牛肉を優先的にまわした。「宗教」を理由とはできないので「民族の習慣を尊重」と説明した。

 反米の立場からパレスチナ問題ではイスラエルを厳しく非難していたので、宗教問題でのイスラム教国家との摩擦を避ける外交的な配慮もあり、国内のイスラム教徒を配慮したとされる。

 現在は、国家の統制下での宗教活動の自由を認め、財政的にも優遇しているが、一方で「イスラム教原理主義」の中国国内への浸透は「断じて許さない」立場だ。

 なお、中国はいわゆる「新興宗教」を認めていない。伝統的な宗教を出発点とする場合も同様で、海外の団体と極めて「友好的」な関係を構築することはあるが、自国内での布教は実質に認めない。(編集担当:如月隼人)