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串本町田原地区で2019年に着工した国内初の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」が完成した。年内の発射に向けて運営会社「スペースワン」(東京)や県が調整を進めている。夏休みには県内各地で関連イベントが行われ、参加した子どもたちが夢と期待を膨らませた。
催し 打ち上げへ機運
ロケットの模型や宇宙服のレプリカ、宇宙食の販売、
和歌山市周辺の人たちに串本のロケットを身近に感じてもらい、県全体の盛り上がりにつなげようと百貨店が企画。8月1日までの期間中は連日、宇宙について学ぶワークショップも行われた。県職員が「宇宙が切り
県立桐蔭中学・高校科学部の生徒はモデルロケットをプラスチックなどで作る工作教室を開いた。同高は空き缶サイズの模擬人工衛星「缶サット」を打ち上げて競う高校生の大会「缶サット甲子園」の強豪校だ。
ロケットは全長約30センチで、上空約100メートルまで上昇する。子どもらは生徒のアドバイスを受けて完成させると「できた!」とはしゃいだ。
和歌山市立三田小3年山口真輝君は、大の宇宙好き。母親によると、ロケット発射をイメージした曲をピアノで作曲するほどという。「宇宙を勉強していると驚くことばかり。できたロケットを飛ばしてみたいな」と目を輝かせた。
同市立福島小1年の
中高生向け体験教室
串本町では今月21、22日、中高生が泊まりがけでロケットや人工衛星について学ぶ体験教室が開かれた。
一般財団法人「雑賀技術研究所」(和歌山市)が県内外から参加者を募集。予定していた定員の2倍の約60人から応募があり、書類選考で39人に絞った。
21日は、宇宙を専門的に学ぶ「宇宙探究コース」を24年度に開設する県立串本古座高校などを見学。町文化センターでは発射場ができるメリットを4人1組で話し合って発表したり、空気を入れた細長いビニール袋を投げて、ロケットに必要な重心の位置を確認する実験を行ったりもした。
22日は県内の教諭有志らでつくる「県宇宙教育研究会」メンバーの指導で、プラスチック製のモデルロケットを製作。実際に飛ばしてみた。
県立向陽高2年の福田桃花さんは「宇宙が好きな仲間たちと交流できて良い経験になった。宇宙工学への興味がわいた」と笑顔。県立橋本高1年松本遼希さんは「国際宇宙ステーションで各国の人が協力している姿に憧れる。将来は宇宙飛行士の選抜試験に挑戦したい」と夢を語った。
この体験教室に参加した生徒らは、初号機打ち上げ時に現地で行われるイベントのボランティアとして参加。打ち上げも見学する。(大場久仁彦、相間美菜子)
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初号機の打ち上げを控え、期待が高まっている。この盛り上がりを今後、どう地域活性化に生かすのか。国内最大のロケット発射場があり、「宇宙のまち」として知られる種子島の取り組みなども参考に考える。