【11月23日 AFP】フィリピン南部ミンダナオ(Mindanao)島で23日、地元の政治家やジャーナリストら数十人が拉致され、そのうち少なくとも21人がまもなく殺害された。

 軍の発表や被害者の親族らの話によると、来年5月に予定される総選挙に関連した事件とみられる。

 軍は武装集団に射殺されたとみられる21人の遺体を発見した。実行グループの正体は明らかになっていないが、これに先んじて軍は、地元の有力政治家につながる武装グループが、対立候補らや20人の地元ジャーナリストを含む約40人を拘束したと発表していた。拉致されたなかには、マギンダナオ(Maguindanao)州内のある市で市長を務めるEsmael Mangudadatu氏の夫人や側近、支持者らがいた。

 一行は州知事選への同市長の立候補を届け出るために選挙管理委員会に向かう途中で、記者らはそれに同行していた。

 Mangudadatu氏の一族は、同州の現知事であるアンダル・アンパトゥアン(Andal Ampatuan)氏の一族と長年、敵対関係にある。警察によると、アンパトゥアン氏は私兵部隊をもっている。

 軍広報官は殺害発覚前、武装集団は約100人で、大半はアンパトゥアン一族に州政府警備を任命された民兵だと発表していた。また、拉致を実行した民兵のリーダーは、アンパトゥアン氏の息子の1人であるとも明らかにしていた。

 現時点でアンパトゥアン氏の談話は発表されていない。

 一方、Mangudadatu氏の兄弟は、アンパトゥアン一族による犯行だと断じて非難している。

 同州やミンダナオ島のほかの州では、政敵の一族同士の衝突や復讐が頻繁で、報復殺人も少なくない。島内には無法地帯も多く、銃の不法所持が増加している。(c)AFP/Jason Gutierrez