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地域の足 難題<上> (2005年5月22日)

並行在来線扱い五稜郭―木古内  引き継ぎ未定

写真:写真説明
沿線住民の足となってきた江差線(木古内駅で)
 午前8時12分、北海道・江差駅を1両編成の函館行きディーゼルカーが発車した。車内には、8人の高校生だけ。その高校生もひとつ目の駅上ノ国で全員が降りた。

 上ノ国高校1年生の男子生徒(15)は「親の都合がつけば、ほとんど車を使うので、めったに乗らない」と話す。入れ替わりに同駅から乗ってきたのは3人。函館市内の病院に行くという主婦(70)は「最近は、送迎バスを出してくれる病院も多い。この線がなくなっても苦にはならない」と素っ気ない。

 江差線の木古内―江差間(42・1キロ)は、1日1キロ当たりの平均利用者数を示す輸送密度(2004年度)が道内最低の64人。廃止が決まったふるさと銀河線(260人=2003年度)さえ大きく下回る。

 北海道新幹線開通で、木古内―江差間は廃止が決定的だ。「大量輸送機関としての使命は終わっている」。JR北海道の坂本眞一会長は、5月中旬、函館市内で行われたフォーラムで語った。浜谷一治・江差町長も「バス転換が現実的ではないか」と話す。関係者の間では、バス転換路線が既成事実化している。

 だが、バス転換も簡単ではない。江差、木古内両町を結ぶ道道は、バスがすれ違えないほど狭い区間があり、拡幅工事が不可欠だ。函館土木現業所江差出張所は「道路の両側を、線路と急斜面に挟まれており、山を削るにせよ、トンネルを掘るにせよ、大がかりな工事が必要」という。

■□■

 一方、同じ江差線でも、新幹線開通後に「並行在来線」扱いとなる五稜郭―木古内間(37・8キロ)は、まったく事情が違う。

 函館発江差行きの最終列車。函館駅を出るのは、午後7時31分。7時過ぎには、函館市内の高校から帰宅する生徒たちが、定員96人の1両編成ワンマン列車に次々と乗り込み、車内はほぼ満員状態となる。

 同区間は、沿線の上磯町住民などにとっても、貴重な日常の足。輸送密度は、約5000人にもなる。

 木古内町の自宅に帰る函館工高1年の林大樹君(16)は「今日は、まだすいているほう」と苦笑。「こんでいても、時間通りに走るのが列車の良いところ。廃止しないでほしい」と話す。

 函館市内での買い物帰りという木古内町の主婦(68)は「各駅停車がなくなれば、地元の人は不便になる。誰のための新幹線なのか」と困惑顔だ。

 北海道新幹線が開業しても、同区間は北海道と本州を結ぶ貨物列車が利用するため、鉄路が残ることは間違いない。しかし、並行在来線扱いとなるため、JR北海道の経営からは分離される。

 旅客業務が第3セクターなどに引き継がれるかどうかは未定。今後設置される予定の対策協議会の中で、道と沿線自治体が検討することになる。在来線を利用する地域住民の利便性をどう維持していくのか――。大きな課題だ。

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