その他、この1年に起きた、主な「お宝関連情報」をお伝えします。
(1)2007年に寄贈されたものの、倉庫の奥の方に眠っていたVHSテープ約400本が日の目を見ることになりました。1979年〜84年ごろの番組が収録されており、提供者の亡くなったお父様が録画されたそうです。
お仕事が生物学の先生、趣味が邦楽(J-POPのことではなく、長唄とか新内といった"純邦楽")ということで、その方面の発掘番組が多かったのですが、
・1979年4月30日放送『ウルトラアイ(一部)』
・1979年9月19日放送『新日本紀行』(これまで素材のみ保存がありました)
・1979年3月ごろ放送『連続テレビ小説・わたしは海』(冒頭タイトル部分が欠けていたので第何回かは不明)
・1979年3月12日放送『連続人形劇・紅孔雀』
…といった、発掘アーキビストとしては嬉しい発見もありました。
(2)私と同期入局で、音楽番組のディレクターをしているS君が「これ、今は再生できないよねー」とすまなそうに持ってきたビデオテープ、『第16回紅白歌合戦』と書かれていました。
「第16回紅白歌合戦」と言えば昭和40年の放送です。「紅白歌合戦」はこの前の年の昭和39年にカラー化され、カラー放送としては2回目になる貴重なビデオテープです。
これまで番組の後半だけ収録されたカラーテープと、モノクロで収録されたテープの保存はあるのですが、カラーで完全版となると大発見です。
し・か・し、S君が持ってきたテープは「2インチテープ」。すでに再生できる機械は"絶滅"したと言われています。NHK放送博物館には2インチテープのビデオレコーダーが展示されていますが、これは5年ほど前に動かなくなった、いわば"剥製"です。
さて、どうしたものかと途方に暮れていると、天の声がしました!
アーカイブスに電子機器類や保存用メディアを納入しているメーカーの方が、「英国に、まだ動く2インチ再生機があるそうです。日本に取り次ぎをしてくれる代理店がありますので、聞いてみてはいかがですか?」と教えてくれたのです。
さっそく連絡してみると、その代理店の社長さんというのは、何と私とほぼ同世代で、しかも学生時代にNHKでバイトしていたとか。さらによくよく聞いてみたら、『樅ノ木は残った』の保存媒体作成の際、2社に分けて発注したうちの1社の下請けとして、作業を行っていたことも分かりました。
…この話だけで「お宝発見ニュース」1回分できてしまうのですが、私が英国まで行った訳ではないので、いかんせん写真などの資料がありません。
結論から申し上げますと、無事、カラー再生された『第16回紅白歌合戦』がデジタルテープになって帰ってまいりました。
しかし!残念なことに、このテープ、「編集済み」だったのです!
坂本九や植木等やザ・ピーナッツなどがまるまるカットされていました。
2時間45分の番組だったのに、テープの長さは1時間40分。誰が何のために、このような「短縮版」を制作したのかは、今となっては永遠の謎です。
(3)間もなく川口アーカイブスで大きな工事が始まります。
保存コンテンツを、これまでのビデオテープではなく、データファイルの形で保存するための装置を入れる工事なのですが、その準備として昨年末、大規模な倉庫整理がありました。
やはり、出てきましたよ、「お宝」!
昭和28年、NHKのテレビ開局直後に放送された人形劇!
数あるNHK人形劇の最初の作品である、その名も『玉藻前(たまものまえ)』!!
すごい、ヤッターーーーーーー!!!
…いや、待てよ、昭和28年の人形劇は生放送だったはず。じゃあ、これは何?
よくよく調べてみると、昭和36年に『芸術劇場』という番組の枠で制作されたリメイク版でした。
リメイク版とは言え、50年以上前の作品。さっそくアーカイブ化して、公開ライブラリーのラインナップに加えました。ぜひ、お近くのNHKにある公開ライブラリーの専用端末でお楽しみください。
みなさんのお宅にも、古いビデオやフィルム、残っていませんか?
NHKの番組が録画されているようでしたら、「NHKアーカイブス」のサイトのトップページにある「お問い合わせ」のメールフォームからご一報をお願いいたします。
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